2014/08/19

三角形における距離の二乗の和の公式

分野: 座標,ベクトル  レベル: 最難関大学

三角形 $ABC$ とその重心 $G$,および任意の点 $X$ に対して
$AG^2+BG^2+CG^2\leq AX^2+BX^2+CX^2$
が成立する。

三頂点からの距離の和を最小化する点はフェルマー点でしたが,二乗和を最小化する点は重心です。

この事実を三通りの方法で証明します!(座標,ベクトル,初等幾何)

座標を用いた証明

距離の和は座標で扱いにくいですが,距離の二乗和は座標の得意分野です。

証明1

$A(x_A,y_A), B(x_B,y_B), C(x_C,y_C)$ とおくと任意の点 $X(x, y)$ に対して,
$f(x,y)=XA^2+XB^2+XC^2=\\
(x-x_A)^2+(x-x_B)^2+(x-x_C)^2\\+(y-y_A)^2+(y-y_B)^2+(y-y_C)^2$
となるので $X$ を動かしてこれを最小化する問題を考える。

$f(x, y)$ は $x$ の関数と $y$ の関数の和になっているのでそれぞれ最小化すればよい。
$x$ の部分だけ見ると二次関数なので簡単に最小化できる:
$3x^2-2(x_A+x_B+x_C)x+x^2_A+x^2_B+x^2_C$
これを最小化する $x$ は $x=\dfrac{x_A+x_B+x_C}{3}$
となり重心の $x$ 座標を一致する。 $y$ 座標についても同様に証明できる。

ベクトルを用いた証明

次はベクトルです。 $GA^2+GB^2+GC^2$ をどんどん変形していき上から抑えます。

証明2

$GA^2+GB^2+GC^2\\
=\overrightarrow{GA}\cdot (\overrightarrow{GX}+\overrightarrow{XA})+\overrightarrow{GB}\cdot(\overrightarrow{GX}+\overrightarrow{XB})+\overrightarrow{GC}\cdot(\overrightarrow{GX}+\overrightarrow{XC})\\
=\overrightarrow{GA}\cdot \overrightarrow{XA}+\overrightarrow{GB}\cdot \overrightarrow{XB}+\overrightarrow{GC}\cdot \overrightarrow{XC}\\
\leq GA\cdot XA+GB\cdot XB+GC\cdot XC$
ただし,二行目から三行目への変形で $\overrightarrow{GA}+\overrightarrow{GB}+\overrightarrow{GC}=\overrightarrow{0}$ を用いた。最終行への変形はベクトルの内積の定義を用いた。

さらにシュワルツの不等式より,
上式の最右辺の二乗 $\leq (GA^2+GB^2+GC^2)(XA^2+XB^2+XC^2)$

以上 $2$ つの不等式を合わせて題意の不等式を得る。

座標による解答よりも発想力が必要なぶんエレガントでした。

初等幾何による証明

二乗の和を図形的に解釈するのはけっこう難しいです。二乗の和といえば中線定理!さらに $XA^2$ を作り出すためにスチュワートの定理を使います。

証明3

中線定理を用いた証明

辺 $BC$ の中点を $M$ とおくと中線定理より,
$BX^2+CX^2=2(BM^2+MX^2)$
一方スチュワートの定理より,
$AX^2\times GM+MX^2\times AG\\=AM(AG\times GM+GX^2)$
重心の性質より $AG:GM=2:1$ なので,
$AX^2+2MX^2=3(AG\times GM+GX^2)$
よって,$AX^2+BX^2+CX^2=3GX^2+2BM^2+3(AG\times GM)$

ここで右辺に注目すると $3GX^2$ 以外は定数(三角形 $ABC$ の形状のみで決まる)なので $GX=0$ のとき(すなわち $X$ が重心と一致するとき)二乗和が最小となることが分かる!

※上記の証明により $AX^2+BX^2+CX^2-3GX^2$ が $X$ によらない不変量であることが分かります。

初等幾何もきれいですが,二乗の和だとやはり座標に軍配が上がります。
分野: 座標,ベクトル  レベル: 最難関大学