2014/10/10

複素数平面における回転と極形式

分野: 複素数  レベル: 入試対策

複素数平面(ガウス平面)
複素数 $z=x+iy$ を直交座標の$(x,\:y)$ に対応させ,$x$ 軸を実軸に,$y$ 軸を虚軸におきかえたものを複素数平面とよぶ。

複素数平面について

ガウス平面

  • 平面上の点の位置は実数二つぶんの情報で表せます。そして,複素数は一つで実数二つぶんの情報を格納できるので,複素数と平面上の点を一対一対応させることができます。
  • 後述しますが,複素数平面を用いると「点の回転」が「複素数のかけ算」と対応します。つまり,加法定理を使うめんどうな計算を複素数のかけ算という簡単な計算に押し付けることができるのです。これが複素数平面を用いる最大のメリットです。(つまり,複素数平面の最大のメリットは計算を簡単にすること!)

複素数平面と極形式

複素数と複素数平面

・直交座標では実数二つ$(x,\:y)$ で点の位置を表していましたが,これは極座標に変換できました。つまり,$(r,\:\theta)$ で点の位置を表すこともできました。これを用いて逆に,$(r,\:\theta)$ で複素数 $z$ を $z=r(\cos\theta+i\sin\theta)$ と表すことができます。これが極形式です。

偏角

$z=\sqrt{3}+i$ は直交座標では$(\sqrt{3},1)$ に対応している,また,$(\sqrt{3},1)$ は極座標では$(2,\:\dfrac{\pi}{6})$ に対応している。
これに注意すると,$z=2(\cos\dfrac{\pi}{6}+i\sin\dfrac{\pi}{6})$ とも表せる。これが $z$ の極形式である。

・ $r$ を複素数 $z$ の絶対値,$\theta$ を偏角と呼びます。 $\sqrt{3}+i$ の絶対値は $2$,偏角は $\dfrac{\pi}{6}$ です。

複素数平面における回転

極形式をふまえて,複素数平面を使う最大のメリットである回転について解説します。

「複素数平面における点の回転」は「複素数のかけ算」に対応している。

もっと数学的にきちんと言うと,「偏角が $\theta_1$ である複素数」と「偏角が $\theta_2$ である複素数」の積は「偏角が $\theta_1+\theta_2$ である複素数」となる。

証明

絶対値が $r_1$ で偏角が $\theta_1$ である複素数 $z_1$ と,絶対値が $r_2$ で偏角が $\theta_2$ である複素数 $z_2$ の積を考える。
複素数 $z_1,\:z_2$ を極形式で表すと,
$z_1=r_1(\cos\theta_1+i\sin\theta_1)$
$z_2=r_2(\cos\theta_2+i\sin\theta_2)$

よって,地道に計算すると,
$z_1z_2=r_1r_2(\cos\theta_1+i\sin\theta_1)(\cos\theta_2+i\sin\theta_2)\\
=r_1r_2(\cos\theta_1\cos\theta_2-\sin\theta_1\sin\theta_2)\\
+r_1r_2i(\cos\theta_1\sin\theta_2+\sin\theta_1\cos\theta_2)\\
=r_1r_2(\cos(\theta_1+\theta_2)+i\sin(\theta_1+\theta_2))$
ただし,最後の行で三角関数の加法定理を用いた。

よって,$z_1z_2$ の極形式が得られたので,絶対値が $r_1r_2$,偏角が $\theta_1+\theta_2$ であることが分かった。

・例えば $z_1$ を絶対値を保ったまま $\dfrac{\pi}{6}$ 回転させたいときには,$z_2=\dfrac{1}{2}(\sqrt{3}+i)$ とすればよいわけです。複素数のかけ算を1回行うだけで。回転後の座標が計算できるというのが複素数平面の素晴らしさです。直交座標だと加法定理なり一次変換なりを使う必要がありめんどくさいです。

・上記の証明から分かるように「複素数の積→絶対値は積,偏角は和」になります。断然偏角の方が重要ですが絶対値も覚えておきましょう。

複素数平面と直交座標の違いを理解するのはなかなか難しい。

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