極大値・極小値の意味と求め方

極大の意味

pic01

  • 極大(きょくだい)とは,近所で一番大きいことを表す。
  • 最大とは,全体で一番大きいことを表す。

極大・極小について,意味・例題・注意点などをわかりやすく解説します。

極大・極小とは

  • 極大とは,自分の近くの範囲で一番大きいという意味です。

  • もう少しきちんと言うと,以下のようになります。

極大値の定義

ある正の実数 ε\varepsilon が存在して aε<x<a+εa-\varepsilon<x<a+\varepsilon なら f(x)f(a)f(x)\leqq f(a)が成立するとき,f(a)f(a) を極大値と言う。

xxaa の近所では,f(a)f(a) が最大という意味です。 pic02

  • 極小値も同様です。極小とは,自分の近くの範囲で一番小さいという意味です。

  • また,極小値,極大値を合わせて極値と言います。

極値の求め方と例題(三次関数)

関数 f(x)f(x) が微分可能な場合,以下が成立します。

  • 極大・極小の点では f(x)=0f'(x)=0 となる。 pic03
  • さらに,f(x)f'(x) がプラスからマイナスに切り替わる点が極大。 pic04 微分係数 f(x)f'(x) は接線の傾きです。これがプラスからマイナスに切り替わるのが山の頂上(極大)というわけです。
  • 逆に,f(x)f'(x) がマイナスからプラスに切り替わる点が極小。

以上の性質をふまえると,以下の手順で極大・極小の点を求めることができます。

極値を求める手順
  1. f(x)=0f'(x)=0 を解く。その解が極値の候補。
  2. その候補の前後で f(x)f'(x) の符号が変化するか確認する。プラスからマイナスに変化すれば極大。マイナスからプラスに変化すれば極小。

実際に極値を求めてみましょう。

例題

f(x)=x33xf(x)=x^3-3x の極値を求めよ。

解答

微分すると,f(x)=3x23f'(x)=3x^2-3

f(x)=0f'(x)=0 を解くために因数分解すると,

f(x)=3(x+1)(x1)f'(x)=3(x+1)(x-1)

よって,f(x)=0f'(x)=0 の解は x=±1x=\pm 1 となる。これが極値を取る点の候補。

  • x=1x=-1 の前後では微分係数が+から−に変わるので極大。極大値は f(1)=2f(-1)=2
  • x=1x=1 の前後では微分係数が−から+に変わるので極小。極小値は f(1)=2f(1)=-2

微分可能な場合の極値の条件

極値の性質とその証明を整理しておきます。

一部はさきほどの例題でも述べましたが,f(x)f(x) が微分可能な場合には,以下の性質1~3が成立します。

性質1

f(x)f(x)x=ax=a で極大または極小 f(a)=0\Rightarrow f'(a)=0

性質1の説明
  • 説明その1
    山の頂上では接線の傾きは 00 なので,極大なら f(a)=0f'(a)=0 。極小も同様。

  • 説明その2
    x=ax=a の十分近くでは f(x)f(a)+(xa)f(a)f(x)\fallingdotseq f(a)+(x-a)f'(a) と一次近似できる(一次近似の意味とよく使う近似公式一覧)。また,x=ax=a で極大なら十分小さい ε>0\varepsilon > 0 に対して f(a+ε)f(a),f(aε)f(a)f(a+\varepsilon)\leqq f(a),f(a-\varepsilon)\leqq f(a) つまり εf(a)0\varepsilon f'(a)\leqq 0 かつ εf(a)0-\varepsilon f'(a)\leqq 0
    よって f(a)0f'(a)\leqq 0 かつ f(a)0f'(a)\geqq 0 つまり f(a)=0f'(a)=0

性質2

性質1の逆は成立するとは限らない。つまり, f(a)=0f'(a)=0 でも x=ax=a で極大または極小とは限らない。

性質2を示す例

f(x)=x3f(x)=x^3 という関数を考える。

f(x)=3x2f'(x)=3x^2f(0)=0f'(0)=0 である。しかし,f(0)f(0) は極大値でも極小値でもない(x>0x > 0 では f(x)>0f(x) > 0x<0x <0 では f(x)<0f(x) <0)。

性質3
  • f(x)f'(x) が正から負に切り替わるなら極大点
  • f(x)f'(x) が負から正に切り替わるなら極小点
性質3の説明

接線の傾きが正から負に変わる \to 上り坂から下り坂に変わる \to 極大点

といえる。また,性質1の説明その2と同じく一次近似の考え方からも説明できる。

なお,多変数関数の場合はややこしくなります。→多変数関数の極値判定とヘッセ行列

極大と最大の違い

  • 極大(極小)は「自分の近くの範囲で一番大きい(小さい)」という意味でした。
    最大(最小)とは「全体の中で一番大きい(小さい)」という意味です。

  • 最大(世界で一番大きい)なら極大(近所でも一番大きい)ですが,逆は成り立つとは限りません。 pic01

  • 紫の点は「極大」であり「最大」です。
    赤い点は「極大」ですが「最大ではない」です。

  • 極大(極小)は自分の周りだけで決まる局所的な性質です。最大(最小)は全体で決まる大域的な性質です。

ちなみに,最大をきちんと定義すると定義域内の任意の実数 xx に対して f(x)f(a)f(x)\leqq f(a) のとき,f(a)f(a) を最大値と言うです。

微分不可能な場合の極大・極小

「微分が−から+に変わるところが極小」という覚え方をしている人がいますが,それは微分可能な場合の話です。一般的な定義だと思ってはいけません。例えば極端な例ですが,図のような関数は x=0x=0 の前後で微分が−から+に変わりますが極大です。

極値の注意点

微分は一次近似である,ということを教科書でもう少し強調して欲しいですね。

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