2014/08/13

区分求積法の難問~京大2003後期~

分野: 極限,微分  レベル: 最難関大学

$f(x)$ が $0\leq x\leq 1$ で連続微分可能なとき $\displaystyle\lim_{n\to\infty}\sum_{k=1}^{2n}(-1)^kf(\dfrac{k}{2n})=\dfrac{1}{2}(f(1)-f(0))$

一見複雑ですが美しい公式です。公式の自然な証明とこの公式を応用する例として京大2003後期第5問を解説します。

$f$ が連続微分可能とは,$f$ が連続かつ $f’$が存在して連続という意味です。

公式の観察

上記の公式を覚える必要はありませんが,考え方はしっかり理解しておきましょう。きっとどこかの難関大学でまた出題されます!

公式を証明する方法はいくつかありそうですが,ここでは「リミットとシグマを見たら区分求積法を連想すべし」という定石に従って証明を試みます。

区分求積法を直接は使えないので工夫する必要があります。そこで,とりあえずシグマの部分を具体的に書き下してみます:
$-f(\dfrac{1}{2n})+f(\dfrac{2}{2n})-f(\dfrac{3}{2n})+f(\dfrac{4}{2n})-\cdots$

この形を見て以下の2つの基礎知識を組み合わせます!(これを思いつくのが一番むずかしい)
「正負が交互に現れるので二項ずつまとめて評価したくなる」
「関数の差は平均値の定理で簡単に評価できる」

具体的には例えば,平均値の定理より
$f(\dfrac{2}{2n})-f(\dfrac{1}{2n})=\dfrac{1}{2n}f'(c_1)$
と評価できます。($c_1$ は $\dfrac{1}{2n}\leq c_1\leq \dfrac{2}{2n}$ を満たす定数)

以上のことに注意して公式を証明します。

区分求積法を使う公式の証明

証明

平均値の定理より,
$f(\dfrac{2k}{2n})-f(\dfrac{2k-1}{2n})=\dfrac{1}{2n}f'(c_k)$
と書ける。ただし,$\dfrac{2k-1}{2n}\leq c_k\leq\dfrac{2k}{2n}$

よって,$\displaystyle\sum_{k=1}^{2n}(-1)^kf(\dfrac{k}{2n})=\displaystyle\sum_{k=1}^n\dfrac{1}{2n}f'(c_k)$
これで区分求積法が使える:
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\sum_{k=1}^{2n}(-1)^kf(\dfrac{k}{2n})\\
=\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac{1}{2}\sum_{k=1}^{n}\dfrac{1}{n}f'(c_k)\\
=\dfrac{1}{2}\int_0^1f'(x)dx\\
=\dfrac{1}{2}(f(1)-f(0))$

※2行目から3行目は区分求積法に慣れていれば自明ですが,ピンとこない人は図を書いてみると分かります。
※3行目から4行目は微分して積分すると元に戻ることを使っています。なぜ定積分で面積が求まるのか

区分求積法の難問

2003年京大後期第5問です。
京大の後期は良問・難問が豊富です。

以下の極限を求めよ:
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\sum_{k=1}^{2n}(-1)^k(\dfrac{k}{2n})^{100}$

上記の公式(または考え方)を覚えていれば瞬殺できる問題です。

解答

上記の公式で $f(x)=x^{100}$ とすると,
題意の極限は $\dfrac{1}{2}(1^{100}-0^{100})=\dfrac{1}{2}$
であることが分かる。


また,次の問題もどこかの入試問題だった気がします。

以下の極限を求めよ:
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\sum_{k=1}^{2n}(-1)^k\log(1+\dfrac{k}{2n})$

これも公式において $f(x)=\log(1+x)$ とすれば極限値が $\dfrac{\log 2}{2}$ であることが分かります。

大学入試を一般化するのも楽しいです

Tag: 京大入試数学の良問と背景知識まとめ

分野: 極限,微分  レベル: 最難関大学