2014/05/02

交代式の因数分解と実践的な例題

分野: 式の計算  レベル: 入試対策

$f(a,b)$ に対して以下のどちらかが成立すれば $f(a,b)$ は$(a-b)$ で割り切れる。つまり因数分解できる
(1):$f(a,a)=0$
(2):$f(a,b)=-f(b,a)$


交代式の因数分解の原理になっています。

因数定理を用いた上記公式の証明

条件(2)を満たすような $f$ を2変数の交代式と言います。

方針:「(1)ならば因数分解可能」を因数定理によって証明します。(2)に関しては「(2)ならば(1)」を示します。

(1)の証明:
$f(a,b)$ を $a$ の1変数関数 $g(a)$ と見て因数定理を用いる。
$g(b)=f(b,b)=0$ なので因数定理から $g(a)$ は$(a-b)$ で割り切れる。

(2)ならば(1)の証明:
$f(a,a)=-f(a,a)$ より,$f(a,a)=0$

例題1

多項式 $a^n-b^n$ の因数分解
上記の式は $a=b$ とすると $0$ となるので$(a-b)$ を因数にもつ。
→因数分解公式(n乗の差、和)

以下の例はシュタイナーレームスの定理の証明中に出てくるゴツイ方程式です。

例題2

方程式 $c(1-2b)(1-c)^2=b(1-2c)(1-b)^2$ を解く。
$f(b,c)=f(c,b)$ という形の方程式になっている。左辺に集めると $f(b,c)-f(c,b)=0$ という形になり,$b=c$ とすると左辺は $0$ になるので$(b-c)$ を因数に持つことが分かる。

方程式を見た時に $b=c$ が解の1つになっていることに気づかないと4次式のゴツさに根負けしまいます。

3変数の場合の交代式

2変数の場合よりも3変数の因数分解が頻出です。 $f(a,b,c)$ のどの2変数を入れ替えても値がマイナス1倍になるとき,$f(a,b,c)$ を3変数の交代式と言います。

3変数の交代式 $f(a,b,c)$ は$(a-b)(b-c)(c-a)g(a,b,c)$ と因数分解することができる。さらに,$g(a,b,c)$ は対称式である

証明は2変数の場合の公式と同様にできます。

例題3

$a^2(b-c)+b^2(c-a)+c^2(a-b)$ の因数分解。
この多項式はどの2変数を交換しても値がマイナス1倍されるので交代式である。
よって,$(a-b)(b-c)(c-a)g(a,b,c)$ と因数分解できるが,$g(a,b,c)$ は $0$ 次の対称式(=定数)であり,$a^2b$ の係数を比較することによって $g(a,b,c)=-1$ であることが分かる:
$a^2(b-c)+b^2(c-a)+c^2(a-b)=-(a-b)(b-c)(c-a)$

次は4次式の例です。

例題4

$a^3(c-b)+b^3(a-c)+c^3(b-a)$ の因数分解。
この多項式はどの2変数を交換しても値がマイナス1倍されるので交代式である。
よって,$(a-b)(b-c)(c-a)g(a,b,c)$ と因数分解できるが,$g(a,b,c)$ は $1$ 次の対称式であり,$a^3b$ の係数を比較することによって $g(a,b,c)=a+b+c$ であることが分かる:
$a^3(c-b)+b^3(a-c)+c^3(b-a)=(a-b)(b-c)(c-a)(a+b+c)$

対称式よりはずいぶんとマイナーですが覚えておきましょう。

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