2014/11/12

ガウス記号の定義と3つの性質

分野: 整数問題  レベル: 最難関大学

ガウス記号:
実数 $x$ に対して,$n\leq x <n+1$ なる整数 $n$ がただ一つ存在するので,その $n$ を $\lfloor x\rfloor$ と書く。

ガウス記号,フロアー関数,床関数,整数部分,など様々な呼び方があります。また,$\lfloor x\rfloor$ ではなく $[x]$ と書くこともあります(むしろ大学入試では後者の記号を用いることが多い)。

ガウス記号の定義について

$\lfloor x\rfloor=n$ であることは以下のようにいろいろな言いかえができます。最初は以下の4つのうち一番しっくりくる日本語で定義を覚えるとよいでしょう。

1:$n$ は整数で $n\leq x <n+1$ を満たす。
2:$n$ は $x$ の整数部分である。
3:$x$ の切り捨てが $n$ である。
4:$n$ は $x$ を超えない最大の整数である。

例えば,$\lfloor 2.1\rfloor=2$,$\lfloor 3\rfloor=3$,$\lfloor -2.3\rfloor=-3$ などとなります。

4つのどの言葉で登場するかは問題によりますが「切り捨て,整数部分」などの言葉が出てきたらガウス記号を連想しましょう。そして,実際に問題を解くときはほとんどの場合,1の不等式を使うことになります。

ガウス記号に対して苦手意識を持っている人は多いですが,ガウス記号にまつわる問題は丁寧に場合分け&簡単な不等式処理で解けることが多いです。

ガウス記号とグラフ

ガウス記号のグラフ

ガウス記号に慣れるために $y=\lfloor x\rfloor$ のグラフを描いてみます。

  • $0\leq x <1$ のとき $y=0$
  • $1\leq x <2$ のとき $y=1$
  • $-1\leq x <0$ のとき $y=-1$

などに注意すると,$y=\lfloor x\rfloor$ のグラフは図のようになります。

同様に,$y=\lfloor x\rfloor+\lfloor 2x\rfloor+3x$ などのもっと複雑な関数のグラフも,場合分けがめんどくさくなりますが,丁寧に場合分けすればかくことができます。

ガウス記号の3つの性質

ガウス記号には様々な性質がありますが,特に以下の3つは覚えておくとよいでしょう。

$x,y$ は任意の実数,$N$ は任意の整数。
性質1:$\lfloor x+N\rfloor=\lfloor x\rfloor+N$
性質2:$\lfloor x+y\rfloor\geq\lfloor x\rfloor+\lfloor y\rfloor$
性質3:$\lfloor 2x\rfloor=\lfloor x\rfloor+\lfloor x+\dfrac{1}{2}\rfloor$

性質1は「 $x+N$ の整数部分は $x$ の整数部分に $N$ を足したもの」という意味であり,明らかです。 $y=\lfloor x\rfloor$ のグラフからも分かります。

性質2も「二つの数を足してから切り下げたもの」は「二つの数を切り下げてから足したもの」以上であるというのは明らかです。性質2のエレガントな応用例として,連続するn個の整数の積と二項係数があります。

性質3は後できちんと証明します。
ちなみに,これは正の整数 $n$ に一般化できます:
性質3’:$\lfloor nx\rfloor=\displaystyle\sum_{k=0}^{n-1}\lfloor x+\dfrac{k}{n}\rfloor$

ガウス記号の性質3の証明

$\lfloor 2x\rfloor=\lfloor x\rfloor+\lfloor x+\dfrac{1}{2}\rfloor$ を証明します。ガウス記号の問題は丁寧に場合分けするのみです。

証明

・まず,$0\leq x <1$ の場合に証明する。
$0\leq x <\dfrac{1}{2}$ のとき,左辺も右辺も $0$ となるのでOK。
$\dfrac{1}{2}\leq x <1$ のとき,左辺も右辺も $1$ となるのでOK。

・一般の $x$ に対して証明する。 $x$ の整数部分を $N$,小数部分を $\alpha$ とおくと $x=N+\alpha$ であり,ガウス記号の性質1より,
$\lfloor 2(\alpha+N)\rfloor=\lfloor 2\alpha+2N\rfloor=\lfloor 2\alpha\rfloor+2N$
$\lfloor (\alpha+N)\rfloor+\lfloor (\alpha+N)+\dfrac{1}{2}\rfloor=\lfloor \alpha\rfloor+\lfloor \alpha+\dfrac{1}{2}\rfloor+2N$
ところが,さきほど示したことより $\lfloor 2\alpha\rfloor=\lfloor \alpha\rfloor+\lfloor \alpha+\dfrac{1}{2}\rfloor$ なので両者は一致する。

読者の方にはいつもお世話になっております。
分野: 整数問題  レベル: 最難関大学