条件付き確率の意味といろいろな例題

条件付き確率の意味をわかりやすく説明します,いろいろな例題(サイコロ,男の子か女の子か問題,病気の検査の問題)を紹介します。

条件付き確率の定義と意味

  • 「事象 AA が起きた」と分かったもとでの事象 BB が起こる確率を条件付き確率と言い,P(BA),PA(B)P(B\mid A),P_A(B) などと書きます。

  • 数式による定義は, P(BA)=P(AB)P(A)P(B\mid A)=\dfrac{P(A\cap B)}{P(A)} です。ベン図を見ると理解しやすいです。条件付き確率の定義

  • 全事象を UU とし,AA に属する場合の数を A|A| などと書くと P(A)=AU,P(AB)=ABUP(A)=\dfrac{|A|}{|U|},\:P(A\cap B)=\dfrac{|A\cap B|}{|U|} なので,条件付き確率は P(BA)=ABAP(B \mid A)=\dfrac{|A\cap B|}{|A|} と書くこともできます。

※私が条件付き確率を初めて学んだとき,定義は分かるけどだから何なの〜?って思いました。 条件付き確率の意味,イメージをつかむには具体例が一番です。そこで,以下では3つの例題を通じて条件付き確率の理解を目指します。

例題1:サイコロ

最初は簡単な例ですが,条件付き確率の考え方を理解するのに役立ちます。

例題1

(平等な)サイコロを1つ振った。出目を見逃してしまったが,友人が出目は偶数だと教えてくれた。このとき出目が 44 以上であった確率を求めよ。

注:直感的にすぐ 23\dfrac{2}{3} だと分かる人もいると思います。条件付き確率の定義に従ってきちんと答えてみます。

解答
  • AA :出目が偶数(つまり出目が 2,4,62,4,6

  • BB :出目が 44 以上(つまり出目が 4,5,64,5,6

とするとき,求める確率は P(BA)P(B\mid A) である。

サイコロの例

  • 方法1(確率を求めて比をとる)
    P(A)=12,P(AB)=26P(A)=\dfrac{1}{2},P(A\cap B)=\dfrac{2}{6} より, P(BA)=2612=23P(B\mid A)=\dfrac{\frac{2}{6}}{\frac{1}{2}}=\dfrac{2}{3}

  • 方法2(場合の数を求めて比をとる)
    A=3,AB=2|A|=3,|A\cap B|=2 より P(BA)=23P(B\mid A)=\dfrac{2}{3}

例題2:男の子か女の子か

有名な問題です。

例題2

ある夫婦には子供が二人いる。二人のうち少なくとも一人は男の子ということが分かった。このとき,二人とも男の子である確率を求めよ。ただし,男の子が生まれる確率,女の子が生まれる確率はともに 12\dfrac{1}{2} とする。

解答
  • AA :少なくとも一人は男の子
  • BB :二人とも男の子

とすると,求める確率は P(BA)P(B\mid A)

ここで,

  • P(A)=34P(A)=\dfrac{3}{4}
    (男男,男女,女男,女女のうち女女以外の確率)

  • P(AB)=14P(A\cap B)=\dfrac{1}{4}

よって,P(BA)=1434=13P(B\mid A)=\dfrac{\frac{1}{4}}{\frac{3}{4}}=\dfrac{1}{3} である。

注:問題文中の「少なくとも一人が男の子」を「年上の方が男の子」という表現に変えると答えは 12\dfrac{1}{2} になります(年下が男の子である確率は 12\dfrac{1}{2})。

例題3:陽性か陰性か

次も非常に有名な話題です。

例題3

とある病気にかかっているか判定する検査について考える。この病気は 1010 万人に一人が罹患している。「病気なのに陰性と判定してしまう確率」「病気でないのに陽性と判定してしまう確率」はともに 0.010.01 であるとする。太郎さんが陽性と判定されたとき,本当に病気にかかっている確率を求めよ。

解答
  • AA :太郎さんが陽性と判定される
  • BB :太郎さんが病気に罹患している

とすると,求める確率は P(BA)P(B\mid A)

ここで,P(A)P(A) は,以下の2つの和である。

  • 「病気」かつ検査が正しく陽性になる確率:
    0.00001×0.990.00001\times 0.99
  • 「病気でない」かつ検査が間違えて陽性になる確率: 0.99999×0.010.99999\times 0.01

これを計算すると, P(A)=0.0100098P(A)=0.0100098 となる。一方, P(AB)=0.00001×0.99=0.0000099P(A\cap B)=0.00001\times 0.99=0.0000099

よって,P(BA)=0.00000990.01000980.001P(B\mid A)=\dfrac{0.0000099}{0.0100098}\fallingdotseq 0.001

つまり,陽性と判断されても本当に病気である確率は 0.10.1 %しかないのです!

罹患率の低い病気について,一回の検査結果で陽性と判断するのは危険ということですね。

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