2016/01/02

重積分の計算方法と例題3問

分野: 解析  レベル: 大学数学

この記事では重積分の計算方法を,例題を通じて解説します。重積分の厳密な定義や順序交換の条件などは専門書を読んで下さい。

なお,二重積分のみ扱います。三重積分なども同様に計算できます。

分解するパターン

積分区間が長方形領域(それぞれの上端,下端が定数)で,被積分関数が一変数関数の積に分解できるとき,以下のように一変数の積分に分解できます。
$\displaystyle\int_{y_0}^{y_1}\int_{x_0}^{x_1}f(x)g(y)dxdy=\displaystyle\int_{x_0}^{x_1}f(x)dx\int_{y_0}^{y_1}g(y)dy$

例題1

$I=\displaystyle\int_0^{\pi}\int_0^{R}r^4\sin\theta drd\theta$
を計算せよ。

解答

$r^4\sin\theta$ という関数を $\{(r,\theta)\mid 0\leq r\leq R,0\leq \theta\leq \pi\}$ という領域で積分せよという問題。 $r$ の積分と $\theta$ の積分に分解できる:
$I=\displaystyle\int_0^{\pi}\sin\theta d\theta\int_0^{R}r^4dr\\
=(-\cos \pi+\cos 0)\cdot\dfrac{R^5}{5}\\
=\dfrac{2}{5}R^5$

なお,これは球の慣性モーメントの2通りの求め方にも登場する積分です。

逐次積分するパターン

例題2

重積分の例題

$I=\displaystyle\iint_Dxy^2dxdy$
を計算せよ。

解答($x$ で積分してから $y$ で積分する)

積分範囲は $1-y\leq x\leq 1$,$0\leq y\leq 1$ と書けるので,
$I=\displaystyle\int_{0}^1\left(\int_{1-y}^1xy^2dx\right)dy\\
=\displaystyle\int_0^1\left[\dfrac{x^2y^2}{2}\right]_{1-y}^1dy\\
=\displaystyle\int_0^1\left(y^3-\dfrac{y^4}{2}\right)dy\\
=\dfrac{1}{4}-\dfrac{1}{10}\\
=\dfrac{3}{20}$

別解($y$ で積分してから $x$ で積分する)

積分範囲は $1-x\leq y\leq 1$,$0\leq x\leq 1$ と書けるので,
$I=\displaystyle\int_{0}^1\left(\int_{1-x}^1xy^2dy\right)dx\\
=\displaystyle\int_0^1\left[\dfrac{xy^3}{3}\right]_{1-x}^1dx\\
=\displaystyle\int_0^1\left(x^2-x^3+\dfrac{x^4}{3}\right)dy\\
=\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{4}+\dfrac{1}{15}\\
=\dfrac{3}{20}$

別解の方がやや計算が大変です。このように積分する順番によって計算の手間は変わります。


例題3

重積分の例題その2

$I=\displaystyle\iint_D -\dfrac{1}{(2x+y+1)^2}dxdy$
を計算せよ。

解答($y$ で積分してから $x$ で積分する)

積分範囲は $x^2\leq y\leq x$,$0\leq x\leq 1$ と書けるので,
$I=\displaystyle\int_{0}^1\left(\int_{x^2}^x -\dfrac{1}{(2x+y+1)^2}dy\right)dx\\
=\displaystyle\int_0^1\left[\dfrac{1}{2x+y+1}\right]_{x^2}^xdx\\
=\displaystyle\int_0^1\left(\dfrac{1}{3x+1}-\dfrac{1}{(x+1)^2}\right)dx\\
=\left[\dfrac{1}{3}\log (3x+1)+\dfrac{1}{x+1}\right]_0^1\\
=\dfrac{1}{3}\log 4-\dfrac{1}{2}$

なお,先に $x$ で積分してもできますが,計算がけっこう煩雑になります。

適度な難易度,計算量の例題を作るのが意外と大変でした。

Tag:数検1級の範囲と必要な公式まとめ

分野: 解析  レベル: 大学数学