2014/05/24

ジョルダンの不等式とその3通りの証明

分野: 極限,微分  レベル: 入試対策

ジョルダンの不等式:
$0\leq x\leq \dfrac{\pi}{2}$ において,
$\dfrac{2}{\pi}x\leq \sin x\leq x$


数3の微分で登場する非常に有名な不等式です。右側はマクローリン型不等式(三角関数)でも紹介した特に有名な不等式です。

ジョルダンの不等式は $\sin x$ を上と下から一次関数でおさえる不等式です。
不等式の証明としてそのまま出題されることもありますし,難関大学では「ジョルダンの不等式を用いて $\sin x$ を評価→はさみうちの原理を用いて何かしらの極限を求める」という流れの問題も出題されます。

例えば右側の不等式は $\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{\sin x}{x}=1$ を示すために使います。sinx/xについて覚えておくべき2つのこと

以下ではジョルダンの不等式の3通りの証明を紹介します。
証明1:微分を用いる
証明2:グラフを用いる
証明3:図形的に証明する

証明1:微分を用いて証明

両辺の差を取って微分し,非負であることを示すという最もオーソドックスな方法です。

右側の不等式の証明

$f(x)=x-\sin x$ とおくと,
$f'(x)=1-\cos x\geq 0$ より $f(x)$ は増加関数。これと $f(0)=0$ より示された。

(左側の不等式の証明)
$g(x)=\sin x-\dfrac{2}{\pi}x$ とおくと,
$g'(x)=\cos x-\dfrac{2}{\pi}$
よって,$g(x)$ は $0\leq x\leq\dfrac{\pi}{2}$ において途中まで増加してそれ以降減少する。(減少に転じるのは $\cos\alpha=\dfrac{2}{\pi}$ となる $\alpha$)
すなわち $g(x)$ はご所望の区間において端っこ$(x=0,\dfrac{\pi}{2})$ のどちらかで最小値を取る。
これと $g(0)=g(\dfrac{\pi}{2})=0$ より示された。

証明2:グラフを用いる

ジョルダンの不等式のグラフ

$y=\dfrac{2}{\pi}x,\sin x,x$ のグラフをそれぞれ書いてみればジョルダンの不等式が理解しやすいです。特に左側の不等式が成立することは明らかです。

「ジョルダンの不等式を証明せよ」という直接的な問題に対しては方法1が無難ですが,ジョルダンの不等式を応用して極限の値を求める応用問題などの場合はこちらの方法で十分です。

証明3:図形的に証明する

こちらの方法も証明2に勝るとも劣らないくらいエレガントです。
図において「赤の長さ $\leq$ 紫の長さ $\leq$ 青の長さ」が成立することから証明されます。

ジョルダンの不等式と図形

$O$ を中心とした半径1の円を考えます。

  • 赤は線分 $AB$ の長さ:$\sin x$
  • 青は $AB$ を半径として $B$ を中心とする円の弧 $AD$ の長さ:$\sin x\cdot\dfrac{\pi}{2}$

よって $\sin x \leq x \leq \dfrac{\pi}{2}\sin x$ となり,これはジョルダンの不等式と同値です。

※厳密には $D$ が円の外側にあることを示す必要がありますが,これは三角不等式 $OA <OB+AB$ より $OC <OD$ となり成り立ちます。

不等式を覚えるだけでなく「サインを一次関数ではさむ」という意味を理解しましょう。
分野: 極限,微分  レベル: 入試対策