2014/07/13

逆関数の3つの定義と使い分け

分野: 方程式,恒等式  レベル: 入試対策

逆関数には以下の3つの定義(特徴付け)が存在します。

1(本質的な意味):ある関数に対して「もとにもどす」関数を逆関数と呼ぶ。
2(代数的な意味):$y=f(x)$ を $x$ について解き $x=g(y)$ となったとき,$y=g(x)$ を $f(x)$ の逆関数と呼ぶ。
3(幾何的な意味):$y=x$ に関して対称なグラフを逆関数と呼ぶ。

1つだけに固執するのではなく場面に応じて使い分けましょう。

逆関数の様々な性質

「逆関数は単射の場合にしか定義できない」
関数が単射とは,$f(a)=f(b)$ となる $a,b (a\neq b)$ が存在しないことを言います。
これは1で理解するのがよいでしょう。つまり,行き先が一致するような異なる2点がある場合「もとにもどす操作」はどちらにもどせばよいのか分からないので逆関数は定義できません。

「逆関数の定義域,値域はもとの関数の値域と定義域になる」
これも1で理解すれば当たり前の性質です。

「逆関数の逆関数はもとの関数」
これは1か3で理解すれば当たり前の性質です。

$y=\dfrac{e^x-e^{-x}}{2}$ の逆関数は $y=\log(x+\sqrt{x^2+1})$
有名な逆関数です。→双曲線関数にまつわる重要な公式まとめ
このように逆関数の具体的な表式を求める場合には2に着目せざるを得ません。

$y=\log(x+\sqrt{x^2+1})$ のグラフの概形
これは直接微分して概形を描こうとすると結構めんどくさいです。
そこで,3に注目して,$y=\dfrac{e^x-e^{-x}}{2}$ のグラフの概形は簡単にかけるので,それを $y=x$ に関して折り返せばよいです。

逆関数の3つの定義の比較

上記の具体例を参考に,それぞれのメリット,デメリットを挙げてみます。


・1「もとにもどす」
メリット:定義域や値域が明確に分かる。(単射なら)どんな関数でも使える。
デメリット:抽象的なので具体的な式やグラフの形が分からない。


・2「 $x$ について解く」
メリット:実際に逆関数の関数形をきちんと与えることができる。
デメリット:$x$ について解ける場合しか使えない。


・3「グラフによる定義」
メリット:グラフを使うのでイメージしやすい。
デメリット:グラフが簡単に描ける場合しか使えない。

3つの定義の同値性

教科書内容ですが,簡単に説明しておきます。

・1と2が同値であること
1の「もとにもどす操作」はもとの関数の式で $x$ と $y$ を交換したものなので2と一致する。

・2と3が同値であること
$y=f(x)$ 上の点$(x,f(x))$ を $y=x$ に関して折り返すと$(f(x),x)$ となる。つまり $x=f(y)$ 上にある。

特に大学数学では,1つの概念を様々な角度から理解しておくことが非常に重要になってきます。

Tag: 数学3の教科書に載っている公式の解説一覧

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