2014/09/04

交代和にまつわる数オリの問題

分野: 式の計算  レベル: 数学オリンピック

1979年国際数学オリンピック第1問です:

$p$ と $q$ を自然数として,
$\dfrac{p}{q}=1-\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{4}+\cdots-\dfrac{1}{1318}+\dfrac{1}{1319}$
が成立するとき $p$ は $1979$ の倍数となることを証明せよ


1979年の問題だけに問題文に $1979$ が含まれています。問題にその年の数字を絡めることはIMOやJMOではよく見られます。

交代和に関するテクニカルな変形

log2に収束する交代級数の証明でも紹介したように,$1-\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}-\cdots$ という和に対しては有名な式変形のテクニックがあります。

解答(前半)

$1-\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{4}+\cdots -\dfrac{1}{1318}+\dfrac{1}{1319}\\
=1+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}+\cdots +\dfrac{1}{1319}-2(\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{4}\cdots +\dfrac{1}{1318})\\
=1+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}+\cdots +\dfrac{1}{1319}-(1+\dfrac{1}{2}+\cdots +\dfrac{1}{659})\\
=\dfrac{1}{660}+\dfrac{1}{661}+\cdots +\dfrac{1}{1319}$

ここまでは機械的な計算でたどりつけます。

二項ずつにまとめる

次の一手は「前と後ろから1つずつとってきて二項まとめて評価する」というテクニックです。 $660+1319=1979$ であることに気づけば思いつきやすいでしょう。

解答(後半)

$\dfrac{1}{660}+\dfrac{1}{1319}=\dfrac{1979}{660\cdot 1319}\\
\dfrac{1}{661}+\dfrac{1}{1318}=\dfrac{1979}{661\cdot 1318}\\
\vdots\\
\dfrac{1}{989}+\dfrac{1}{990}=\dfrac{1979}{989\cdot 990}$
を全て加え合わせることで,
$\dfrac{p}{q}=1979(\dfrac{1}{660\cdot 1319}+\dfrac{1}{661\cdot 1318}+\cdots+\dfrac{1}{989\cdot 990})$
となる。

右辺のカッコの中身を通分したとき分母は $660$ から $1319$ までかけたものであり,$1979$ とは互いに素である($1979$ は素数)。
よって,$p\times$ ($1979$ と互いに素な整数)= $1979$ の倍数
となるので $p$ は $1979$ の倍数である。

今回の教訓

数学オリンピックの問題は答えだけ読んでも「綺麗な解答だなー」で終わってしまうことが多いです。なぜそう考えるのか,根底にはどのような考え方があるのかなどを考えて教訓を絞り出すことが重要です。

  • $1-\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}\cdots$ の形の和の式変形のテクニックの再確認
  • 二項ずつまとめて評価すると有効なこともある

※逆に部分分数分解のように二項に分解して評価することもあります

・その年の数字は出題されやすいのであらかじめ素因数分解を覚えておくとよい(笑)

自分で絞り出した教訓(ポイント)をたくさんためることが重要です。

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