2014/09/19

複素数平面における三角形の面積

分野: 複素数  レベル: 入試対策

複素数 $\alpha,\beta$ に対応する二点 $A(\alpha),B(\beta)$ と原点 $O$ でつくられる三角形 $OAB$ の面積は,
$\dfrac{1}{4}|\alpha\overline{\beta}-\overline{\alpha}\beta|=\dfrac{1}{2}|\mathrm{Im}(\alpha\overline{\beta})|$

この公式の使い方と二通りの証明を解説します。

複素数平面における三角形の面積

・ $\mathrm{Im}z$ は複素数 $z$ の虚部を表しています。任意の複素数 $z$ に対して $\mathrm{Im}z=\dfrac{z-\overline{z}}{2i}$ が成り立つので上の2つの表式は等しいです。

・実際に計算するときは $\dfrac{1}{2}|\mathrm{Im}(\alpha\overline{\beta})|$ を用いれば早いです。

$O(0),A(1+2i),B(-2+3i)$ のとき三角形 $OAB$ の面積は,
$(1+2i)(-2-3i)$ の虚部の絶対値の $\dfrac{1}{2}$ 倍なので,$\dfrac{7}{2}$

・面積を求めたい三角形の頂点が原点を含まない場合は平行移動すればOKです:

$A(1+2i), B(3+5i), C(-2+3i)$ のとき三角形 $ABC$ の面積は,$A$ を中心になるように平行移動した三角形 $A’B’C’$の面積と等しい:$A'(0), B(2+3i), C(-3+i)$

よって,上記の公式より面積は $\dfrac{11}{2}$ となる。

三角形の面積公式の証明1

サラスの公式で紹介した直交座標における三角形の面積公式を認めてしまえば証明は簡単です。

証明

$A(a+bi), B(c+di)$ とすると直交座標では $A(a,b), B(c,d)$ となる。
直交座標の面積公式より,三角形 $OAB$ の面積 $S$ は $S=\dfrac{1}{2}|ad-bc|$ となる。
一方,$(a+bi)(c-di)$ の虚部は $bc-ad$ となるので,
$S=\dfrac{1}{2}|\mathrm{Im}(a+bi)(c-di)|$ と表せて証明完了。

この証明から分かるように,複素数平面における三角形の面積公式は直交座標における面積公式とほとんど同じものですが,直交座標を忘れて複素数のまま計算できることに利点があります。

三角形の面積公式の証明2

複素数平面の計算に慣れるためにもう一通り証明を解説します。

証明

$OA$ と $OB$ のなす角を $\theta$ とおくと,求める面積 $S$ は,
$S=\dfrac{1}{2}|\alpha||\beta|\sin\theta$
あとは $\sin\theta$ を求めればよい。

・ $OAB$ が時計回りの順にあるとき(反時計回りのときも同様),
$\theta$ は $\dfrac{\alpha}{\beta}$ の偏角。
よって,$\sin\theta=\dfrac{\mathrm{Im}(\frac{\alpha}{\beta})}{|\frac{\alpha}{\beta}|}=\dfrac{|\beta|}{|\alpha|}\mathrm{Im}(\dfrac{\alpha}{\beta})$

ここで,$\beta\overline{\beta}=|\beta|^2$ より,$\dfrac{1}{\beta}=\dfrac{\overline{\beta}}{|\beta|^2}$ なので,
$\sin\theta=\dfrac{1}{|\alpha||\beta|}\mathrm{Im}(\alpha\overline{\beta})$
以上により題意は示された。

証明1の方が簡潔ですが,証明2には複素数平面の計算のエッセンスが詰まっています。

Tag: 三角形の面積を求める公式まとめ

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