2016/02/10

複素数の範囲での因数分解の例題4問

分野: 式の計算  レベル: 入試対策

与えられた多項式を「○○の範囲で因数分解する」とは,○○係数の多項式の積に(できるだけ細かく)分解するという意味。
(○○には複素数,整数,有理数,実数などが入る)

因数分解の問題で特に指示がない場合は「整数の範囲で」因数分解すればOKですが,この記事では複素数の範囲での因数分解について考えます。

因数分解の方法

二次多項式 $x^2+ax+b$ は,
$x^2+ax+b=0$ の解を $x_1, x_2$ とすると,
$x^2+ax+b=(x-x_1)(x-x_2)$
のように(複素数の範囲で)因数分解できます($n$ 次多項式でも同様,複素数の範囲なら必ず一次式の積に分解できる)。

簡単な例題

例題1(二次式)

$x^2+2x+3$ を複素数の範囲で因数分解せよ。

解答

整数の範囲ではこれ以上因数分解できない。
$x^2+2x+3=0$ の解は解の公式より $x=-1\pm\sqrt{2}i$
よって,複素数の範囲で因数分解すると,
$x^2+2x+3=(x+1+\sqrt{2}i)(x+1-\sqrt{2}i)$

例題2(四次式)

$x^4-x^2-2$ を複素数の範囲で因数分解せよ。

解答

$x^2$ をひとかたまりと見ることにより,$(x^2-2)(x^2+1)$
と因数分解できる。整数の範囲ではここまで。
さらに,実数の範囲では,$(x+\sqrt{2})(x-\sqrt{2})(x^2+1)$
と因数分解できる。
さらに,複素数の範囲では,
$(x+\sqrt{2})(x-\sqrt{2})(x+i)(x-i)$
と因数分解できる。

発展例題

例題3

$x^n-1$ を複素数の範囲で因数分解せよ。

解答

$x^n-1=0$ の解は,($\zeta=e^{\frac{2\pi i}{n}}$ とおくと)$\zeta,\zeta^2,\cdots,\zeta^n=1$ の $n$ 個である。
よって,
$x^n-1=\displaystyle\prod_{k=1}^n(x-\zeta^k)=(x-\zeta)(x-\zeta^2)\cdots (x-\zeta^n)$

例題4

$x^2+y^2+z^2-xy-yz-zx$ を複素数の範囲で因数分解せよ。

解答

$\omega=\dfrac{-1+\sqrt{3}i}{2}$ とおく($\omega^2=\dfrac{-1-\sqrt{3}i}{2}$)と,
$x^2+y^2+z^2-xy-yz-zx\\
=(x+\omega y+\omega^2z)(x+\omega^2y+\omega z)$

($x$ についての二次方程式を解くことでも導出できるし,1の三乗根オメガの性質を用いて式の正しさ証明することもできる)

例題4の式,何かの役に立つわけではありませんが,美しいです。
分野: 式の計算  レベル: 入試対策