2015/02/15

変数分離形の微分方程式の解法と例題

分野: 解析  レベル: 大学数学

微分方程式の最も基本的なパターンの一つ「変数分離形微分方程式」を解説します。数検1級や大学の期末試験でも頻出です。

変数分離形微分方程式

変数分離形の微分方程式とは,
$y’=p(x)q(y)$
のように,$y’=$($x$ の関数)×($y$ の関数)と表すことができる微分方程式のこと

  • $y’=(y^2+5y)x^2$ は変数分離形
  • $y’x=(2\log x)y$ は $y’=\dfrac{2\log x}{x}\cdot y$

と変形できるので変数分離形
・ $y’=y$ は $p(x)=1$ となる変数分離形

注:最後の例のように $p(x)=1$ の場合が頻出です(例えば,後述する空気抵抗がある場合の自由落下など)。

以下の二点の理由により,変数分離形微分方程式は非常に重要です!

  • 変数分離形を解くのは簡単(後述)
  • かなり多くの微分方程式が(うまく変形することで)変数分離形で表せる

変数分離形の解法

$y’=p(x)q(y)$ という微分方程式は,以下の2ステップで解くことができます。

1. $\dfrac{y’}{q(y)}=p(x)$ と変形する
2.両辺を $x$ で積分する:$\displaystyle\int \dfrac{y’}{q(y)}dx=\displaystyle\int p(x)dx$

左辺は置換積分の公式により $\displaystyle\int \dfrac{dy}{q(y)}$ と等しい。よって両辺ともに普通に積分すればよい。

例題

$y’=2xy^2$ を満たす $x$ の(微分可能な)関数 $y$ を求めよ。さらに,このような関数の中で $x=0$ のとき $y=-1$ であるようなものを求めよ。

解答

これは変数分離形の微分方程式である。両辺を $y^2$ で割る($y=0$ という関数は明らかに解であるのでそれ以外の解を求める&注参照)と,
$\dfrac{y’}{y^2}=2x$
両辺を $x$ で積分すると,
$\displaystyle\int \dfrac{dy}{y^2}=\displaystyle\int 2x dx$
よって積分定数を $C$ として,$-\dfrac{1}{y}=x^2+C$
つまり, $y=-\dfrac{1}{x^2+C}$
$x$ の連続関数となるには $C > 0$ が必要。

さらに,$x=0$ のとき $y=-1$ となる場合は,$-1=-\dfrac{1}{C}$ となるので $C=1$
つまり求める関数は, $y=-\dfrac{1}{x^2+1}$

注(追記):厳密には「 $y$ が $0$ も $0$ 以外も取りうる関数」を排除する必要があります。
これを厳密に行うには「(初期値問題の)微分方程式の解の一意性」という大学で習う難しい定理が必要になります($y=0$ という解があることと,解の一意性より「 $y$ が $0$ も $0$ 以外も取りうる関数」は存在しない)。
読者の方のご指摘により気づくことができましたm(__)m

空気抵抗がある場合の自由落下

変数分離形微分方程式のさらなる応用例として,空気抵抗がある場合の自由落下を表す方程式を解いてみます。

例題

$m\dfrac{dv}{dt}=mg-kv$
を満たす $t$ の関数 $v$ を求めよ。ただし,$t=0$ のとき $v=0$ とする。

$v$ は物体の速さ,$t$ は時刻,$m,g,k$ は定数です。($m$ は質量,$g$ は重力加速度,$k$ は空気抵抗の強さを表す定数)

解答

左辺に $t$ は登場せず $v$ のみの関数であるので変数分離形である。
よって,両辺を $mg-kv$ で割って(注),
$\dfrac{m}{mg-kv}\dfrac{dv}{dt}=1$
両辺を $t$ で積分すると,
$\displaystyle\int\dfrac{mdv}{mg-kv}=\displaystyle\int dt$
よって積分定数を $C$ として,$\log |mg-kv|=-\dfrac{kt}{m} +C$

ここで,$t=0$ のとき $v=0$ より $\log mg=C$

よって,先ほどの式を $v$ について解くと, $v=\dfrac{mg}{k}(1-e^{-\frac{kt}{m}})$

注:$v=\dfrac{mg}{k}$(定数)という関数も解ですが,$t=0$ のとき $v=0$ という初期条件を満たさないので他の解を探します。

物理の基本方程式の多くは微分方程式です。

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