2015/05/08

反発係数を考慮した自由落下の有名問題

分野: 物理  レベル: 最難関大学

反発係数を考慮した自由落下の問題では,
(理論上)衝突の回数は無限大だが,停止するまでにかかる時間 $T$ は有限: $T=\sqrt{\dfrac{2h}{g}}\cdot\dfrac{1+e}{1-e}$

反発係数を考慮した高校物理の基本的な問題として,自由落下&バウンドの運動を解説します。等比数列の和が登場するなど,数学要素も強い話題です。

問題設定

問題

地表から高さ $h$ の地点から質点を自由落下させる。衝突(跳ね返り)の反発係数は $0\leq e <1$ とする。このとき,ボールの運動を解析せよ。

注:$e=1$(弾性衝突)だと無限回同じようにバウンドし続けてつまらない&現実的でないので除外します。

自由落下による跳ね返り運動

最高点(高さが極大となる点)から次に最高点に到達するまでのことを「1サイクル」と呼ぶことにします。

$n-1$ サイクル終了から $n$ サイクル終了までにかかる時間を $t_n$,$n$ サイクル終了時点の質点の高さを $a_n$ とします。($a_0=h$)

1サイクルの運動の解析

まずは1サイクルの運動を解析します。一番重要な部分です。

一回の衝突において,
最高点の高さの比率=反発係数の二乗

(高さについて)
1回目に地面と衝突する直前の速さを $v$,直後の速さを $v’$とおくと,
反発係数の公式(定義)より $e=\dfrac{v’}{v}$

また,エネルギー保存則より $\dfrac{1}{2}mv^2=mga_0$
$\dfrac{1}{2}mv’^2=mga_1$

以上3つの式より $e^2=\dfrac{a_1}{a_0}$

(時間について)
自由落下させてから $t$ 秒間に落ちる距離は,$\dfrac{1}{2}gt^2$
よって,初めての衝突までにかかる時間 $t$ は $\dfrac{1}{2}gt^2=a_0$ を満たす。つまり $t=\sqrt{\dfrac{2a_0}{g}}$
また,はじめて衝突してからもう一度最高点に到達するまでにかかる時間は同様に考えて $\sqrt{\dfrac{2a_1}{g}}$
よって, $t_1=\sqrt{\dfrac{2a_0}{g}}(1+e)$

nサイクルの運動の解析

$a_n$ および $t_n$ は等比数列である。

(高さについて)
先ほどと同様にして,任意の非負整数 $n$ に対して $e^2=\dfrac{a_{n+1}}{a_n}$ が分かる。

よって,$a_n$ は初項 $a_0=h$,公比 $e^2$ の等比数列である。
一般項は, $a_n=he^{2n}$

(時間について)
先ほどと同様にして,任意の正の整数 $n$ に対して $t_n=\sqrt{\dfrac{2a_{n-1}}{g}}(1+e)$ が分かる。
ここで,$a_n$ が公比 $e^2$ の等比数列であることから $t_n$ は公比 $e$ の等比数列であることが分かる。
一般項は, $t_n=\sqrt{\dfrac{2h}{g}}(e^{n-1}+e^n)$

極限を取る

・ $\displaystyle\lim_{n\to \infty}a_n=0$ です。当然ですが(衝突でエネルギーを失うことで)最高点の位置はどんどん $0$ に近づいていきます。

・運動終了(静止する)までにかかる時間は $T=\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}t_n$ です。ということで $T$ を計算します。無限等比級数の公式(→無限等比級数の収束,発散の条件と証明など)より,
$T=\dfrac{t_1}{1-e}=\sqrt{\dfrac{2h}{g}}\cdot\dfrac{1+e}{1-e}$

実際スーパーボールとかで実験するときは質点ではなく剛体なので,回転運動も考えないといけませんね。
分野: 物理  レベル: 最難関大学