2014/08/29

法線ベクトルの求め方と応用

分野: 座標,ベクトル  レベル: 最難関大学

法線ベクトルを求める公式:
$f(x,y)=0$ で表される曲線の$(x, y)$ における法線ベクトルの1つは$(f_x, f_y)$ である。
ただし,$f_x=\dfrac{\partial f}{\partial x}$ は $x$ に関する偏微分。 $f_y$ も同様。

法線ベクトルとは接線に垂直なベクトルのことです。法線ベクトルを求める非常に一般的な公式です。

偏微分について

「偏微分」という名前と記号を見て一瞬ひるんでしまいがちですが,意味は単純です。多変数関数を特定の変数に関して微分したものを偏微分を呼ぶだけです。 $f_x$ と書いたり $\dfrac{\partial f}{\partial x}$ と書いたりします。

$f(x,y)=x^2+y^3+y+2$
$x$ に関する偏微分は $f_x=2x$
$y$ に関する偏微分は $f_y=3y^2+1$

法線ベクトルを具体例で求める

とりあえず公式を使ってみましょう。

$x^2+y^2=1$ の$(1,0)$ における法線ベクトルを求めよ

図を書けば答えはすぐに分かりますが公式を使ってみます。
$f_x=2x, f_y=2y$ より$(1,0)$ における偏微分の値たちは$(2,0)$ となる。よって$(2,0)$ が法線ベクトルの $1$ つ。

単純な例でしたが,どんなに複雑な形の関数でも, $f(x,y)=0$ の形に直して各変数で微分してその点の座標を代入することで法線ベクトルが簡単に求まるのです!

法線ベクトルの公式の応用

法線ベクトルに関する知識は大学入試でもしばしば役に立ちます。例えば,法線ベクトルが分かれば接線の方程式が分かります。

ここでは上記の公式の応用例として
円 $C$:$(x-a)^2+(y-b)^2=r^2$ 上の点 $A(x_0,y_0)$ における接線の方程式をエレガントに導出します。

$C$ の $A$ における法線ベクトルは上記の公式を用いて
$(2(x_0-a),2(y_0-b))$ と分かる。
よって,$(x,y)$ が接線上にある
⇔$(x-x_0,y-y_0)$ と法線ベクトルが垂直
$(x-x_0)(x_0-a)+(y-y_0)(y_0-b)=0$
となりこれは接線の方程式。

これでも十分ですが,見慣れた形に変形してみます:
$(x-a+a-x_0)(x_0-a)+(y-b+b-y_0)(y_0-b)=0$
$(x-a)(x_0-a)+(y-b)(y_0-b)=r^2$
(ここで$(x_0-a)^2+(y_0-b)^2=r^2$ であることを用いた)

同様にして楕円,双曲線などの接線の方程式も簡単に求めることができます。

また,法線ベクトルの他の応用としては平面の方程式が挙げられます。
→平面の方程式とその3通りの求め方

法線ベクトルの公式の導出

冒頭の定理は「各成分の偏微分を並べたベクトル」が法線ベクトルになっているという主張です。この「各成分の偏微分を並べたベクトル」は勾配ベクトルと呼ばれ,大学数学や物理で大活躍します。→勾配ベクトルの意味と例題

冒頭の定理の大雑把な説明をします($\varepsilon -\delta$ 論法を用いた厳密な証明は大学範囲です,そのため記述式の試験では使うことは推奨されない公式です)。

(説明)
曲線 $f(x,y)=0$ 上の点 $A(x, y)$ からほんの少し動いた点 $B(x+\Delta x, y+\Delta y)$ も同じ曲線上にあるとする。 $\Delta x, \Delta y$ が十分小さいとき$(x,y)$ における接線の方向ベクトルは$(\Delta x, \Delta y)$ とみなせる。
これと直交するベクトルを求めるのが目標。

ここで,$(x,y)$ の近くで $x$ 方向に $\Delta x$ だけ進むと関数値は $f_x\Delta x$ 増える(一次近似)。
同様に$(x,y)$ の近くで $y$ 方向に $\Delta y$ だけ進むと関数値は $f_y\Delta y$ 増える

ところが $A, B$ における関数値はともに $0$ で等しいので
$f_x\Delta x+f_y\Delta y=0$
これは勾配ベクトルと接線ベクトルの内積が $0$ であることを示しており,勾配ベクトルと接線ベクトルは直交することが分かる。

大学数学のベクトル解析でより深く学びます

Tag: 偏微分の高校数学への応用

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