2014/06/11

ガウス積分の公式の2通りの証明

分野: 積分  レベル: 最難関大学

ガウス積分:
$a > 0$ のとき,
$\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}e^{-ax^2}dx=\sqrt{\dfrac{\pi}{a}}$

ガウス積分について

  • 指数の肩に二次関数が乗っているような関数の積分をガウス積分と呼びます。
  • 正規分布の確率密度関数を扱う場合など,応用上も頻繁に登場する積分公式です。→正規分布の基礎的なこと
  • 積分区間が有限でないのでガウス積分は広義積分です。

以下ではガウス積分の公式を2通りの方法で証明します。

1:重積分を用いる方法
2:ガンマ関数を用いる方法

方法1は有名な方法ですが重積分の分解を用いるので, 高校数学の範囲では方法2の方が納得しやすいと思います。

重積分を用いたガウス積分の証明

重積分を用いるので表記はゴツイですが,内容は単純です。

方針:$\pi$ を出現させるために極座標を用います。極座標が使える形にするために最初にあえて二乗します。

証明

ガウス積分の値を $I$ とおく。
$I^2=\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}e^{-ax^2}dx\int_{-\infty}^{\infty}e^{-ay^2}dy\\
=\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}\int_{-\infty}^{\infty}e^{-ax^2-ay^2}dxdy$
ここで $x=r\cos\theta,y=r\sin\theta$ と置換すると,ヤコビアンは $r$ なので,
$I^2=\displaystyle\int_{0}^{\infty}\int_{0}^{2\pi}e^{-ar^2}rd\theta dr\\
=2\pi\int_{0}^{\infty}e^{-ar^2}rdr\\
=2\pi[\tfrac{e^{-ar^2}}{-2a}]_0^{\infty}\\
=\dfrac{\pi}{a}$

gauss

注:最初の部分で $\displaystyle\int A\int B=\displaystyle\int\int AB$ とできることを用いました。(フビニの定理)これは,シグマの二重和が分解できることの一般形です。シグマ計算を機械的に行うための3つの公式の最後の部分。

注:重積分の変数変換,ヤコビアンに関しては厳密には大学内容が必要です。平面上において $r$ から $r+dr$ の間にある部分の面積が $2\pi rdr$ と近似できることに由来しています。全平面上で積分する際に $r$ を固定して $\theta$ で積分し,最後に $r$ で積分します。

ガンマ関数を用いたガウス積分の証明

方針:階乗の一般化であるガンマ関数 $\Gamma(x)=\displaystyle\int_0^{\infty}t^{x-1}e^{-t}dt$ を利用します。ガンマ関数は直接計算できないのでベータ関数に変換してから置換積分で計算します。ガンマ関数とベータ関数の関係についてはベータ関数の積分公式の下の方を参照してください。

証明

ガンマ関数の定義より $\Gamma(\dfrac{1}{2})=\displaystyle\int_0^{\infty}\dfrac{e^{-t}}{\sqrt{t}}dt$
であり,$t=ax^2$ と置換すると,
$\Gamma(\dfrac{1}{2})=\displaystyle\int_0^{\infty}\dfrac{e^{-ax^2}}{\sqrt{a}x}2axdx\\
=2\sqrt{a}\int_0^{\infty}e^{-ax^2}dx\\
=\sqrt{a}I$

一方,ガンマ関数とベータ関数の関係より,
$\Gamma(\dfrac{1}{2})^2=\Gamma(1)\beta(\dfrac{1}{2},\dfrac{1}{2})=\displaystyle\int_0^1\dfrac{dx}{\sqrt{x(1-x)}}$
ここで $x=\sin^2\theta$ と置換すると,
$\dfrac{dx}{d\theta}=2\sin\theta\cos\theta$ より,
$\displaystyle\int_0^1\dfrac{dx}{\sqrt{x(1-x)}}=\displaystyle\int_0^{\tfrac{\pi}{2}}\dfrac{2\sin\theta\cos\theta}{\sin\theta\cos\theta}d\theta=\pi$

以上より,
$I=\dfrac{1}{\sqrt{a}}\Gamma(\dfrac{1}{2})\\
=\sqrt{\dfrac{\pi}{a}}$

置換積分のオンパレードでした

Tag: 正規分布の基礎的な知識まとめ

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