2014/12/30

ガンマ関数(階乗の一般化)の定義と性質

分野: 解析  レベル: 大学数学

階乗 $n!$ の $n$ を正の整数でない部分にも定義できるように一般化した概念としてガンマ関数というものがある。


階乗の一般化であるガンマ関数の定義と基本的な性質を整理しました。

ガンマ関数の定義

定義はけっこうややこしいです,我慢して下さいm(__)m

実部が正であるような複素数 $z$ に対してガンマ関数 $\Gamma(z)$ を以下のように定義します:
$\Gamma(z)=\displaystyle\int_0^{\infty}t^{z-1}e^{-t}dt$

これは積分区間の上端が$+\infty$ であり,高校数学では扱いません。広義積分と呼ばれます。

ガンマ関数

さらに,実部が負であるような複素数に対しても解析接続というものを使ってガンマ関数の値を定義することができます(ただし,非正整数の部分では定義できない)。

正の実数に対してガンマ関数をプロットした図を示します。 $x$ の増加とともに $\Gamma(x)$ の値は爆発的に増えていきます。

階乗の一般化であること

ガンマ関数の定義では広義積分を使っていて一見複雑そうですが,実はガンマ関数は階乗の一般化になっています。

任意の正の整数 $n$ に対して, $\Gamma(n+1)=n!$

$1$ ズレることに注意して下さい。

これは部分積分を使って簡単に証明することができます。

証明

$\Gamma(1)=\displaystyle\int_0^{\infty}e^{-t}dt=[-e^{-t}]_0^{\infty}=1$

また,任意の正の整数 $n$ に対して,
$\Gamma(n)=\displaystyle\int_0^{\infty}t^{n-1}e^{-t}dt\\
=[-t^{n-1}e^{-t}]_0^{\infty}-\int_0^{\infty}\{-(n-1)t^{n-2}e^{-t}\}dt\\
=0+(n-1)\int_0^{\infty}t^{n-2}e^{-t}dt\\
=(n-1)\Gamma(n-1)$

以上より $\Gamma(n+1)=n!\Gamma(1)=n!$ となる。

高校数学ではとりあえず便利だから $0!=1$,と定義されますが,$\Gamma(1)=1$ となることからも $0!=1$ とするのが自然だと言うことが分かります。

1/2でのガンマ関数の値

$\Gamma(\dfrac{1}{2})=\sqrt{\pi}$

これはガウス積分を使うことで簡単に導出できます。→ガウス積分の公式の2通りの証明

証明

$\Gamma(\dfrac{1}{2})=\displaystyle\int_0^{\infty}t^{-\frac{1}{2}}e^{-t}dt$
ここで $t=u^2$ と置換すると,上式は
$\displaystyle\int_0^{\infty}u^{-1}e^{-u^2}2udu\\
=2\int_0^{\infty}e^{-u^2}du\\
=\sqrt{\pi}$

また,先ほどの部分積分を用いた議論により,$\Gamma(x)=(x-1)\Gamma(x-1)$ が $x$ が $1$ より大きい任意の実数のときに成り立つので,$\Gamma(n+\dfrac{1}{2})$ の値を求めることができます。

例えば,$0.5!$ に相当する値 $\Gamma(\dfrac{3}{2})$ は
$\Gamma(\dfrac{3}{2})=\dfrac{1}{2}\Gamma(\dfrac{1}{2})=\dfrac{\sqrt{\pi}}{2}$ であることが分かります。

その他

・大学入試にも役立つ積分公式としてベータ関数の積分公式というものを紹介しましたが,ベータ関数とガンマ関数には深い関係があります。

・階乗を近似する公式としてスターリングの公式を紹介しましたが,スターリングの公式は正の整数以外でも使えます。

高校時代,アルファベットの $T$(ティー)とギリシャ文字の $\Gamma$(ガンマ)を読み間違えて苦労したことがあります。
分野: 解析  レベル: 大学数学