2016/01/29

有限体(ガロア体)の基本的な話

分野: 代数,情報・暗号理論  レベル: 大学数学

位数(要素数)が $q$ の有限体が存在する $\iff$ ある素数 $p$ と正の整数 $n$ が存在して $q=p^n$

有限体とは

位数が有限である体を有限体(またはガロア体)と言います。大雑把に言うと,四則演算ができる有限集合のことです。

位数が $q$ である有限体(実は,同型を除いて一通りに定まる)を $F_q$,$GF(q)$ などと表記します。

$GF(2)$

具体例として,位数が $2$ の有限体について考えてみます。

$\{0,1\}$ という,要素数が $2$ の有限集合を考えます。そして,四則演算を「整数の世界で四則演算をして,それを $2$ で割った余り」と定義します。例えば,$1+1=0$,$1\times 0=0$,$0-1=1$という感じです。

この定義は四則演算が満たすべき性質(体の公理)を満たしているので,有限体になっています!

位数が素数である場合

より一般に,位数が素数 $p$ である有限体は,

  • $\{0,1,\cdots,p-1\}$ という集合,
  • 「整数の世界で足し算(引き算,かけ算)をして,それを $p$ で割った余り」という足し算(引き算,かけ算),
  • $a\times x=b$ を満たす $x$ を $b\div a$ とするような割り算

を考えることで構成できます。

そして,位数が $p$ である体は同型を除いて一つであることが知られています。つまり,位数が $p$ である体は本質的に上で構成したものしかないということです。

位数が素数でない場合

では,先ほどと同様に,位数が $4$ の有限体を構成できないか,考えてみます。$\{0,1,2,3\}$ という集合を考えます。

実は,残念ながら例えば $1\div 2$ が定義できません。$2\times x=1$ を満たす $x$ が存在しないからです。

なお,位数が素数 $p$ の場合には,
任意の$a\in \{1,\cdots, p-1\},b\in\{0,1,\cdots,p-1\}$ に対して,$ax\equiv b\:\mathrm{mod}\:p$ を満たす整数 $x\in \{0,1,\cdots,p-1\}$ がただ一つ存在する
という性質がある(高校数学で簡単に証明できる)ため,このような問題は起こりません。

冒頭の定理について

上の方法では位数 $4$ の体は構成できませんでしたが,別の方法で構成することができます。より一般に,位数が素数のべき乗である有限体は,既約多項式というものを用いて構成することができます。

また,位数が素数のべき乗でないような有限体は存在しません。

「ガロア体」と言う方が,「有限体」と言うよりも難しく聞こえる気がします。
分野: 代数,情報・暗号理論  レベル: 大学数学