2015/10/25

全称記号(任意の〜)と存在記号(ある〜)

分野: 集合,命題,論証  レベル: 大学数学

$\forall$:「任意の」を表す記号
$\exists$:「ある(〜〜が存在する)」を表す記号

全称記号 $\forall$ と存在記号 $\exists$

$\forall$ と $\exists$ という記号は高校数学では使いませんが,大学に入るといきなり登場します。

$\forall$ は「任意の」「全ての」という意味です。「任意の」と読む人が多いです。texでは\forallと打ちます。Allの頭文字Aをひっくり返した形です。

$\exists$ は「ある(〜〜が存在する)」という意味です。texでは\existsと打ちます。Existの頭文字Eをひっくり返した形です。

いずれも正しい命題です。

  • $\forall x\in \mathbb{R}$,$x^2 \geq 0$
    (全ての実数 $x$ に対して,$x^2\geq 0$)
  • $\exists x\in \mathbb{C}$,$x^2 < 0$
    (ある複素数 $x$ が存在して,$x^2 < 0$)

「任意の」と「ある」の否定

「任意の〜〜に対して◯◯である」の否定は「ある〜〜が存在して◯◯でない」です(非常に重要です,理解できない人は理解できるまでしつこくゆっくり考えて下さい)。

  • $\forall x\in \mathbb{R}$,$f(x)\geq 0$ の否定は $\exists x\in \mathbb{R}$,$f(x) < 0$
  • $\exists x\in \mathbb{R}$,$g(x)=0$ の否定は $\forall x\in \mathbb{R}$,$g(x)\neq 0$

つまり,$\forall$ または $\exists$ を含む命題の否定を作るには, $\forall$ と $\exists$ を交換して後ろの命題を否定すればよいというわけです。慣れれば素早く否定命題を作れるので便利です(与えられた命題の否定を素早く作ることは背理法や対偶法で証明する際に重要になります)。

より複雑な例

解析学におけるイプシロンデルタ論法では $\forall$,$\exists$ が連発します。

$\forall \varepsilon > 0$,$\exists \delta> 0$,$\forall x$,$|x-a|<\delta$ なら $|f(x)-f(a)|<\varepsilon$
(任意の正の実数 $\varepsilon$ に対して,ある正の実数 $\delta$ が存在して「 $|x-a|<\delta$ なら $|f(x)-f(a)|<\varepsilon$ 」が成立)

この命題の否定は,
$\exists \varepsilon > 0$,$\forall \delta> 0$,$\exists x$,$|x-a|<\delta$ かつ $|f(x)-f(a)|\geq \varepsilon$
(あるの正の実数 $\varepsilon$ が存在して,任意の正の実数 $\delta$ に対して「 $|x-a|<\delta$ かつ $|f(x)-f(a)|\geq\varepsilon$ となる $x$ が存在する」が成立)

「任意の」は顔文字でよく見ます(・∀・)( ゚∀゚)( ´∀`)
分野: 集合,命題,論証  レベル: 大学数学