2015/08/06

ファクシミリの原理と通過領域の例題2問

分野: いろんな関数  レベル: 最難関大学

ファクシミリの原理:
「 $x=k$ と固定して $y$ のとりうる値の範囲を求める」という操作を全ての $k$ について行うことで,領域を求めることができる。

ファクシミリの原理について

  • ・ $x=k$ による図形の断面が全ての $k$ に対して分かればもとの図形が復元できるという考え方です(後述の例参照)。
  • ファクシミリ(FAX)の(ある方式では)画像を送信するときに1ラインずつ処理する,というのが名前の由来だと思われます。
  • ファクシミリの原理は「原理」ではありません。一文字を固定して考えるというシンプルな「考え方」です。
  • ファクシミリの原理は数学用語ではありません。大学への数学シリーズで使われている単語です。記述式の試験で使ってはいけません。印象的なネーミングですが,普通に一文字固定する方法と言えばよいのにと思います。

例題

例題1

直線群 $y=2tx-t^2\:(t\geq -1)$ が通過する領域を求め,図示せよ。

解答

$x=k$ と固定して $y$ のとりうる値を考える。
$y=2tk-t^2\:(t\geq -1)$ のとりうる値の範囲を求めるために,平方完成する:
$y=-(t-k)^2+k^2$

・ $k\geq -1$ のとき
$y$ は $t=k$ で最大値 $k^2$ をとる。また,$t$ をいくらでも大きくすることで $y$ はいくらでも小さくなる。つまり,$y$ の範囲は $y\leq k^2$

ファクシミリの原理の例題

・ $k< -1$ のとき
$y$ は $t=-1$ で最大値$-(k+1)^2+k^2=-2k-1$ をとる。また,$t$ をいくらでも大きくすることで $y$ はいくらでも小さくなる。つまり,$y$ の範囲は $y\leq -2k-1$

以上より,求める領域は図の薄緑の部分(境界は含む)

なお,この問題は包絡線の考え方を使っても解けます。→包絡線の求め方と例題

東大の問題

続いて,2015年東大理系第一問です。いくつか解法があると思いますが,ファクシミリの原理でやってみます。

例題2

正の実数 $a$ に対して,座標平面上で次の放物線を考える:
$C:y=ax^2+\dfrac{1-4a^2}{4a}$
$a$ が正の実数全体を動くとき,$C$ の通過する領域を求めよ。

解答

$x=k$ と固定して $y$ のとりうる範囲を求める:
$y=ak^2+\dfrac{1-4a^2}{4a}\\
=a(k^2-1)+\dfrac{1}{4a}\:(a > 0)$

・ $k^2=1$ のとき
$y=\dfrac{1}{4a}\:(a > 0)$ のとりうる範囲は $0 < y$

・ $k^2 <1$ のとき
$a(k^2-1)$ も $\dfrac{1}{4a}$ も単調減少である。また,$\displaystyle\lim_{a\to 0} \left\{a(k^2-1)+\dfrac{1}{4a}\right\}=\infty$,$\displaystyle\lim_{a\to\infty}\left\{a(k^2-1)+\dfrac{1}{4a}\right\}=-\infty$ であることに注意すると,$y$ のとりうる範囲は実数全体

ファクシミリの原理の例題2

・ $k^2 > 1$ のとき
相加相乗平均の不等式より,
$a(k^2-1)+\dfrac{1}{4a}\\\geq 2\sqrt{\dfrac{a(k^2-1)}{4a}}\\
=\sqrt{k^2-1}$
これと,$\displaystyle\lim_{a\to 0} \left\{a(k^2-1)+\dfrac{1}{4a}\right\}=\infty$ より $y$ のとりうる範囲は $\sqrt{k^2-1}\leq y$

よって,答えは図のようになる。
(ただし,境界は白丸,点線の部分のみ含まない)

相加相乗平均に気づけるといちいち微分しなくてよいので楽です。

Tag: 東大入試数学の良問と背景知識まとめ

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