2015/06/26

e^xのマクローリン展開,三角関数との関係

分野: 指数・対数関数  レベル: 大学数学

$e^x=1+x+\dfrac{x^2}{2!}+\dfrac{x^3}{3!}+\dfrac{x^4}{4!}+\cdots$

指数関数 $e^x$ の高階微分,マクローリン展開($x=0$ でのテイラー展開),指数関数と三角関数の関係式について解説します。

$e^x$ の高階導関数

マクローリン展開のための準備です。

問題

(1)$y=e^x$ の $n$ 階導関数を求めよ。
(2)$y=a^x\:(a > 0)$ の $n$ 階導関数を求めよ。

解答

(1)$e^x$ を微分しても $e^x$ のままである。よって,何回微分しても $e^x$ のままである:
$(e^x)^{(n)}=e^x$

(2)$a^x$ を微分すると $a^x\log a$ である。→指数関数y=a^xの微分公式の4通りの証明
よって,$(a^x)^{(n)}=a^x(\log a)^n$

$e^x$ のマクローリン展開

$e^x$ はマクローリン展開の最も簡単で重要な例です!

マクローリン展開の公式:
$f(x)=f(0)+f'(0)x+\dfrac{f”(0)}{2!}x^2+\dfrac{f^{(3)}(0)}{3!}x^3+\dfrac{f^{(4)}(0)}{4!}x^4+\cdots$

先述の結果により $f(x)=e^x$ の $x=0$ での導関数の値は常に $1$ です。よって,$e^x=1+x+\dfrac{x^2}{2!}+\dfrac{x^3}{3!}+\dfrac{x^4}{4!}+\cdots$
となります。

なお,収束半径は無限大です。

複素数の指数関数

指数関数のマクローリン展開の応用として,複素数 $z$ に対する指数関数 $e^z$ について考えてみます。

1.マクローリン展開を使った表現(解析接続):
$1+x+\dfrac{x^2}{2!}+\dfrac{x^3}{3!}+\cdots$ の $x$ に複素数 $z$ を代入したものを $e^z$ とする。

2.実三角関数を使った表現:
$z=a+bi\:(a,b$ は実数)に対して $e^z=e^a(\cos b+i\sin b)$ とする。

・1と2は同値であることが分かります(後述)!

・普通は1を複素指数関数の定義とし,そこから2を導出して「指数関数と三角関数に美しい関係がある,素晴らしいね!」って言います。
(ただし,複素指数関数とオイラーの公式ではマクローリン展開を知らない人でも楽しめるように2が複素指数関数の定義だという強引な説明をしました。)

指数関数と三角関数の美しい関係

1と2の同値性を証明します。

証明

・ $a=0$ のとき(有名)
1の表現からスタートして変形していく
$e^{bi}=1+bi+\dfrac{(bi)^2}{2!}+\dfrac{(bi)^3}{3!}+\dfrac{(bi)^4}{4!}+\cdots\\
=1-\dfrac{b^2}{2!}+\dfrac{b^4}{4!}-\dfrac{b^6}{6!}+\cdots\\
+i(b-\dfrac{b^3}{3!}+\dfrac{b^5}{5!}-\dfrac{b^7}{7!}+\cdots)\\
=\cos b+i\sin b$
となり2の表現と一致した。(最後の変形はサインとコサインのマクローリン展開を用いた。→sinとcosのn階微分とマクローリン展開

・一般の $a$ のとき
1の表現において実数の場合と同じように指数法則が成立することが導出できる(注):
$e^{z_1+z_2}=e^{z_1}e^{z_2}$
$z_1=a,z_2=bi$ とすると
$e^{a+bi}=e^ae^{bi}=e^a(\cos b+i\sin b)$
(最後の等号は $a=0$ の場合の結果を使った)となり2の表現と一致した。

注:
$(1+z_1+\dfrac{z_1^2}{2!}+\cdots)(1+z_2+\dfrac{z_2^2}{2!}+\cdots)\\
=1+(z_1+z_2)+\dfrac{(z_1+z_2)^2}{2!}+\dfrac{(z_1+z_2)^3}{3!}+\cdots$
は簡単に証明できます。練習問題にどうぞ。

マクローリン展開を通じて三角関数と指数関数がつながっているというのがかなり面白いですね。
分野: 指数・対数関数  レベル: 大学数学