2014/06/26

指数関数と対数関数の極限の公式

分野: 極限,微分  レベル: 基本公式

公式1:$\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{e^x-1}{x}=1$
公式2:$\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{x}{\log(1+x)}=1$

どちらも超頻出公式です。指数関数と対数関数に関係する極限の問題(で有限の値に収束するもの)のほとんどがこの公式の変形版です。

無限大に発散するもの(発散のスピードの比較)については指数関数の極限と爆発性を参照して下さい。

2つの公式の同値性

まずは公式1と公式2は同じものだということを解説します。
公式1において $e^x-1=y$ とおくと,$x=\log(1+y)$ となります。しかも,$e^x-1$ は $x=0$ で連続なので $x\to 0$ のとき $y\to 0$ となります。
よって,2つの公式は見た目は違えど主張は同じです。

以下ではこれらの公式についてより深く観察していきます。一つの公式もいろいろな見方があって,たくさんの含意を知っていると思わぬ場面で救ってくれます。

微分係数だと思う

指数関数と対数関数の微分公式だとみなせば上記の公式は当たり前だと思えます。

・公式1について
$x=0$ での $f(x)=e^x$ の微分係数は $e^0=1$ なので,微分の定義より $\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{e^x-e^0}{x}=1$

・公式2について
$x=0$ での $f(x)=\log(1+x)$ の微分係数は $\dfrac{1}{1+0}=1$ なので,$\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{\log(1+x)-\log 1}{x}=1$

この説明は分かりやすくて暗記のためには役立つのですが,厳密な証明としてはよろしくありません。というのは,通常対数関数や指数関数の微分公式を導くときにこの公式を使うからです。つまりこれを証明として認めてしまうと循環論法になってしまうのです。

そこで,次にきちんとした証明を解説しておきます。

公式の証明

どちらも同値なので公式2を証明します。

証明

$\displaystyle\lim_{x\to 0}(1+x)^{\frac{1}{x}}=e$ を証明すれば両辺の対数を取ることで題意が示されます。

これはネイピア数 $e$ の定義からほぼ明らかですが,きちんと証明するには,
A:$\displaystyle\lim_{x\to\infty}(1+\dfrac{1}{x})^x=e$
B:$\displaystyle\lim_{x\to -\infty}(1+\dfrac{1}{x})^x=e$
の両方を言う必要があります。

・Aの証明
$(1+\dfrac{1}{x})^x$ が単調増加であることから(→自然対数の底に収束することの証明
自然数 $n$ をうまく持ってきて,
$(1+\dfrac{1}{n})^n <(1+\dfrac{1}{x})^x <(1+\dfrac{1}{n+1})^{n+1}$
とできるのでネイピア数の定義とハサミ打ちの原理よりOK

・Bの証明(Aが使える形に強引に変形していくだけ)
$\displaystyle\lim_{x\to -\infty}(1+\dfrac{1}{x})^x\\
=\displaystyle\lim_{x\to\infty}(1-\dfrac{1}{x})^{-x}\\
=\displaystyle\lim_{x\to\infty}(\dfrac{x}{x-1})^x\\
=\displaystyle\lim_{x\to\infty}(1+\dfrac{1}{x-1})^{x-1}(1+\dfrac{1}{x-1})\\
=e$

マクローリン展開を用いた説明

指数関数と対数関数のマクローリン展開を知っていれば上記の公式は当たり前だと思えます。

・公式1について
$x=0$ 付近では $e^x\simeq 1+x$ と一次近似できるので $\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{e^x-1}{x}=1$

・公式2について
$x=0$ 付近では $\log(1+x)\simeq x$ と一次近似できるので $\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{x}{\log(1+x)}=1$

厳密な証明にはなっていませんが,極限の値を見積もる際に非常に役立ちます。

このテクニックの三角関数版三角関数の不定形極限を機械的な計算で求める方法も参考にしてみてください。

マクローリン展開はとても便利なので理論は知らなくても近似式だけは覚えておきましょう。

Tag: マクローリン展開の応用例まとめ

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