2014/02/18

複素指数関数とオイラーの公式

分野: 解析  レベル: 大学数学

高校数学では三角関数や指数関数の定義域は実数ですが,一般に複素数の三角関数や指数関数を考えることもできます。

一般に複素数の指数関数は,実数の指数関数及び三角関数を用いて以下のように定義される:
$e^{(a+bi)}=e^a(\cos b+i\sin b)\hspace{15mm}(a,b \in \mathbb{R})$

なぜこのような式で定義されるかという理由を知るには,解析接続という概念を理解する必要があります。(詳しくはe^xのマクローリン展開,三角関数との関係をどうぞ)とりあえずは「このように定義したら都合が良いことがたくさんあるから」とおぼえておきましょう。

特に $a=0$ の場合をオイラーの公式と呼びます:
$e^{i\theta}=\cos\theta+i\sin\theta$

更に,オイラーの公式に $\theta=\pi$ を代入すれば有名なオイラーの等式(博士の愛した数式)を得ることができます:
$e^{\pi i}=-1$

一見何の関係もない三角関数と指数関数にこのような深い関係があるのは驚くべきことです。
複素指数関数を用いることで,三角関数と指数関数を統一的に議論することができ,非常に便利になります。

指数法則と加法定理

指数関数 $e^z$ のことを $\exp(z)$ とも書きます。

複素指数関数に対しても指数法則
$\exp(z_1+z_2)=\exp(z_1)\exp(z_2)$
が成立することを証明しておきます。

証明

$z_1=x_1+iy_1, z_2=x_2+iy_2$ とおくと,
左辺は
$\exp(z_1+z_2)=\exp\{(x_1+x_2)+i(y_1+y_2)\}\\
=\exp(x_1+x_2)\{\cos(y_1+y_2)+i\sin(y_1+y_2)\}$

右辺は
$\exp(z_1)\exp(z_2)\\=(\exp(x_1)(\cos y_1+i\sin y_1))(\exp(x_2)(\cos y_2+i\sin y_2))\\
=\exp(x_1+x_2)\{\cos y_1 \cos y_2-\sin y_1 \sin y_2\\+i(\sin y_1 \cos y_2+\cos y_1 \sin y_2)\}$
よって三角関数の加法定理から,指数法則が成立することが分かる。

つまり,複素指数関数の指数法則と実三角関数の加法定理は本質的には同じことを言っているのです。

美しい応用例として,三角関数を指数関数に変身させることで和を求めるというテクニックがあります。
→三角関数の和と等比数列の公式

他にもいろいろ嬉しいことがある

複素指数関数の演算は実数と同じように行うことができます。証明は定義式を用いて単純に計算するだけなのでぜひ一度やってみてください。

実数での微分, 積分
$\dfrac{de^{zt}}{dt}=ze^{zt}$
$\displaystyle\int e^{zt}dt=\dfrac{e^{zt}}{z}+C$

実数での微分や積分は上記のように簡単に計算できますが,複素数での微分,積分を理解するには本格的に複素解析を学ぶ必要があります。

なお,さらに発展的な話題として複素数の対数関数とiのi乗が実数であることもどうぞ!


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