2016/02/27

イプシロンデルタ論法とイプシロンエヌ論法

分野: 解析  レベル: 大学数学

関数や数列の極限を厳密に議論するために必要な,イプシロンデルタ論法,イプシロンエヌ論法について解説します。

関数の極限の厳密な定義

$\displaystyle\lim_{x\to a}f(x)=A$ の意味(定義)は,

$x$ が限りなく $a$ に近づくとき,$f(x)$ は限りなく $A$ に近づく(高校数学)
→ $|x-a|$ が限りなく小さくなるとき,$|f(x)-A|$ が限りなく小さくなる
→ どんなに小さな正の $\varepsilon$ に対しても $|x-a|$ を十分小さくすれば $|f(x)-A|<\varepsilon$ となる
任意の正の実数 $\varepsilon$ に対して,ある正の実数 $\delta$ が存在して,$|x-a|<\delta$ なら $|f(x)-A|< \varepsilon$(イプシロンデルタ論法による厳密な定義)

簡単な例題

$\displaystyle\lim_{x\to 0} 100x=0$ を確認せよ。

解答

任意の正の実数 $\varepsilon$ に対して,ある正の実数 $\delta$ が存在して,
$|x|<\delta$ なら $|100x|< \varepsilon$ (*)
を確認すればOK。

もし $\varepsilon=1$ と言われたら,$\delta=0.01$ とすれば(*)を満たす。
もし $\varepsilon=0.0314$ と言われたら,$\delta=0.000314$ とすれば(*)を満たす。
より一般に,与えられた $\varepsilon$ に対して $\delta=0.01\varepsilon$ とすれば(*)を満たすのでOK。

他のいろいろな極限の定義

$\displaystyle\lim_{x\to a}f(x)=A$ の定義さえきちんと理解できれば,他の定義もすんなり受け入れられる(自分で構成できる)と思います。

関数の極限

$\displaystyle\lim_{x\to a}f(x)=\infty$ (正の無限大に発散)の意味は,
任意の実数 $R$ に対して,ある $\delta> 0$ が存在して,$|x-a|<\delta$ なら $f(x) > R$

$\displaystyle\lim_{x\to a}f(x)=-\infty$ (負の無限大に発散)の意味は,
任意の実数 $R$ に対して,ある $\delta> 0$ が存在して,$|x-a|<\delta$ なら $f(x) < R$

$\displaystyle\lim_{x\to \infty}f(x)=A$ (無限大に行くときの極限)の意味は,
任意の $\varepsilon >0$ に対して,ある $R> 0$ が存在して,$x>R$ なら $|f(x)-A|< \varepsilon$

数列の極限

$\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=A$ の意味は,
任意の $\varepsilon > 0$ に対して,ある $N$ が存在して,$n > N$ なら $|a_n-A| <\varepsilon$
(イプシロンエヌ論法)

$\displaystyle\lim_{x\to -\infty}f(x)=A$,$\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=\infty$,$\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=-\infty$ などについても考えてみてください。

使用例

イプシロンデルタ論法に慣れるためにはいろいろな証明を読んだり,自分で問題を解くのが一番です。ここでは3つ例を紹介します。

関数の連続性と一様連続性
イプシロンデルタ論法を用いて,関数の連続性について議論します。

はさみうちの原理の証明
イプシロンエヌ論法を用いて(直感的にも当たり前と思える)事実をきちんと証明します。

チェザロ平均の性質と関連する東大の問題
イプシロンエヌ論法を用いて(直感的にはすぐには分からないかもしれない)事実をきちんと証明します。

イプシロンアール論法とはあまり言わないです。
分野: 解析  レベル: 大学数学