2015/05/30

円の接線の方程式を求める公式の3通りの証明

分野: 座標,ベクトル  レベル: 入試対策

座標平面において,円:$x^2+y^2=r^2$ 上の点$(x_0,y_0)$ における接線の方程式は, $x_0x+y_0y=r^2$

非常に有名でなかなかきれいな公式です。

具体例,平行移動バージョン

証明の前に具体例など。

例題

円 $x^2+y^2=1$ 上の点$(\frac{3}{5},\frac{4}{5})$ における接線の方程式を求めよ。

解答

公式より,$\dfrac{3}{5}x+\dfrac{4}{5}y=1$,つまり $3x+4y=5$


ちなみに,円の中心が原点でない場合にも同様の公式が成立します。

座標平面において,円:$(x-a)^2+(y-b)^2=r^2$ 上の点$(x_0,y_0)$ における接線の方程式は,$(x_0-a)(x-a)+(y_0-b)(y-b)=r^2$

これは原点を中心とするバージョンを「平行移動」するだけで簡単に導出できます。極線の方程式でやっていることと全く同じなので平行移動バージョンの証明は省略します。

以下では,冒頭の公式を3通りの方法で証明します。

1.傾きと通る点から求める方法

まずは素直な証明方法です。

証明

・ $x_0\neq 0,y_0\neq 0$ のとき
$(x_0,y_0)$ における接線は,直線 $y=\dfrac{y_0}{x_0}x$ と直交するので,その傾きは$-\dfrac{x_0}{y_0}$ である。

よって,通る一点と傾きが分かったので求める方程式は,
$y-y_0=-\dfrac{x_0}{y_0}(x-x_0)$ と分かる。

これを整理すると,$\dfrac{x_0}{y_0}x+y=\dfrac{x_0^2}{y_0}+y_0$
$x_0x+y_0y=x_0^2+y_0^2$

また,$(x_0,y_0)$ は円上の点であることから $x_0^2+y_0^2=r^2$
以上より求める方程式は $x_0x+y_0y=r^2$

・ $x_0,y_0$ のいずれかが $0$ であるときも簡単に確認できる。

2.法線ベクトルを用いる方法

法線ベクトルについて知っていれば簡単に証明できます。この方法はややレベルが高いですが,楕円などにも応用できる素晴らしい方法です。

証明

ベクトル$(x_0,y_0)$ は,点$(x_0,y_0)$ における円の法線ベクトルである(図形的に分かるし,偏微分からも分かる)。
よって(定数 $k$ を用いて)接線の方程式は $x_0x+y_0y=k$ と書ける。

これが,$(x_0,y_0)$ を通るので,$k=x_0^2+y_0^2=r^2$

以上より求める接線の方程式は $x_0x+y_0y=r^2$

3.距離公式を用いる方法

点と直線の距離公式を使って証明することもできます。
この状況ではあまりスマートではない(証明1の下位互換な気もする)方法ですが,円の接線は距離公式から求まるという考え方は大事です。

証明

$y_0\neq 0$ の場合のみ証明する。

$(x_0,y_0)$ を通る方程式は,$y-y_0=a(x-x_0)$
つまり,$ax-y-ax_0+y_0=0$(*)と書ける。

この直線と原点の距離が $r$ になるとき,接線の方程式となるので,点と直線の距離公式より,
$\dfrac{|-ax_0+y_0|}{\sqrt{a^2+1}}=r$

$r^2=x_0^2+y_0^2$ に注意して上式を変形していく:
$(-ax_0+y_0)^2=r^2(a^2+1)$
$a^2x_0^2+y_0^2-2ax_0y_0=(x_0^2+y_0^2)(a^2+1)$
$-2ax_0y_0=x_0^2+a^2y_0^2$
$(x_0+ay_0)^2=0$

よって,$a=-\dfrac{x_0}{y_0}$

求める方程式は,(*)に代入して整理すると $x_0x+y_0y=r^2$ となる。

ちなみに,楕円の場合(この公式の一般化)については楕円の接線を求める公式とその証明をどうぞ。

「円の接線の方程式の公式の3通りの証明」というタイトルにしようと思ったのですが「の」ばっかりだったので少し変えました。

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