2014/10/07

デザルグの定理とその三通りの証明

分野: 平面図形  レベル: 数学オリンピック

デザルグの定理

デザルグの定理:
三角形 $ABC$ と $A’B’C’$がある。このとき,
$AA’$,$BB’$,$CC’$が一点 $O$ で交わる
→ $AB$ と $A’B’$の交点 $P$,$BC$ と $B’C’$の交点 $Q$,$CA$ と $C’A’$の交点 $R$ は同一直線上にある。


デザルグの定理の証明を三通り解説します。いずれも非常に美しいです。

デザルグの定理について

  • 実はデザルグの定理の逆(上記の→を←に変えたもの)も成立します。
  • 二つの三角形の位置関係(例えば重なっていたりとか)や向きによって図は大きく異なってきます。そのため,どのパターンにも対応できるような,図に依存しない証明はけっこう大変です。以下の証明2は図に依存した証明に見えますが,他の図の場合も対応できます。

証明1:メネラウスの定理を使う方法
証明2:複比を用いる方法
証明3:三次元のデザルグの定理を証明する方法

証明3は厳密ではありませんが大雑把な理解にどうぞ。

デザルグの定理の証明1

「メネラウス三発」で証明します。

デザルグの定理

証明

三角形 $OAB$ と直線 $A’B’$にメネラウスの定理を用いる:
$\dfrac{OA’}{A’A}\dfrac{AP}{PB}\dfrac{BB’}{B’O}=1$
三角形 $OBC$ と直線 $B’C’$にメネラウスの定理を用いる:
$\dfrac{OB’}{B’B}\dfrac{BQ}{QC}\dfrac{CC’}{C’O}=1$
三角形 $OCA$ と直線 $C’A’$にメネラウスの定理を用いる:
$\dfrac{OC’}{C’C}\dfrac{CR}{RA}\dfrac{AA’}{A’O}=1$

この三つの式を全てかけ合わせると,
$\dfrac{AP}{PB}\dfrac{BQ}{QC}\dfrac{CR}{RA}=1$
となり,拡張されたメネラウスの定理の逆より $P,\:Q,\:R$ が一直線上にあることが分かる。

メネラウスの定理の拡張については,メネラウスの定理の覚え方と拡張を参照して下さい。

デザルグの定理の証明2

複比の不変性を使います。→複比の定義と複比が不変であることの証明
美しいですが,けっこう難しいです。

デザルグの証明

証明

直線 $PQ$ と $AA’,\:BB’,\:CC’$との交点をそれぞれ $X,\:Y,\:Z$ とする。(図では $Y$ ははるか左,$Z$ ははるか右にあります。)
$P$ を中心とした複比の不変性より,
$(X,A’;A,O)=(Y,B’;B,O)$
$Q$ を中心とした複比の不変性より,
$(Y,B’;B,O)=(Z,C’;C,O)$
よって,$(X,A’;A,O)=(Z,C’;C,O)$

$PQ$ と $AC$ の交点を $R$ とおき,$R,\:A’,\:C’$が同一直線上にあることをいえばよい。
つまり,$RA’$と $OC$ の交点 $C”$が $C’$と一致することをいえばよい。
これは $R$ を中心とした複比の不変性より,
$(X,A’;A,O)=(Z,C”;C,O)$

となるので先ほどの式と比較して $C’=C”$がいえる。

デザルグの定理の証明3(厳密でない)

三次元のデザルグの定理を利用します。

証明

まず,三角形 $ABC$ と三角形 $A’B’C’$が三次元空間にあり,それぞれを含む空間が平行でない場合を考える。この二つの平面の交線を $l$ とおく。また、 $AA’,\:BB’,\:CC’$が一点 $O$ で交わるので $A,\:A’,\:B,\:B’,\:O$ は同一平面 $H$ 上にある。つまり,$AB$ と $A’B’$は交点 $P$ を持つ。 $P$ は $AB$ 上にあり,$A’B’$上にもあるので交線 $l$ 上にある。同様に $Q,\:R$ も $l$ 上にあるので $P,\:Q,\:R$ は同一直線上にある。

三角形 $ABC$ と $A’B’C’$が同一平面上にある場合は,まずそれらを少し「持ち上げて」三次元空間の場合のデザルグの定理に帰着させる。

・この「持ち上げる」というのは射影変換という道具で厳密に説明されますが,射影は複雑なのでここでは扱いません。気になる方はpdfファイルを参照して下さい。→デザルグの定理(外部pdfです,pdfの作成者に感謝m(__)m)

・例えば $AB$ と $A’B’$平行な場合は交点を「無限遠点」とするなどの例外的な処理が必要です。

射影幾何学も奥が深そうです。
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