2015/04/25

楕円の周の長さの求め方と近似公式

分野: 二次曲線  レベル: 大学数学

楕円の周長:長軸の長さが $2a$,短軸の長さが $2b$ である楕円:$\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1$ の周の長さは, $L=2\pi a\left(\displaystyle\sum_{t=0}^{\infty} c_t^2\dfrac{\epsilon^{2t}}{1-2t}\right)$
ただし,$\epsilon$ は離心率で,$\epsilon^2=1-\dfrac{b^2}{a^2}$ を満たし,
$c_0=1$,$c_t=\dfrac{(2t-1)!!}{(2t)!!}=\dfrac{(2t-1)(2t-3)\cdots 1}{2t(2t-2)\cdots 2}\:(t\geq 1)$


楕円の周の長さは高校数学+アルファで求めることができます。最後に楕円の周の長さを求める近似式も紹介。

楕円の周の長さ

・楕円の面積については「楕円は円を拡大,縮小したもの」と見ることで簡単に求めることができました。→楕円の面積公式の3通りの導出
一方,(円周の長さは簡単に求まるのに)楕円の周の長さを求める公式は非常に複雑です。

・冒頭の公式は,$a$ と $b$ が分かれば $\epsilon$ が分かり $L$ も(無限級数ですが)計算できるという流れです。

・上の公式は複雑でよく分からないので $t=2$ くらいまで書き下してみます:
$L=2\pi a\left\{1-\left(\dfrac{1}{2}\right)^2\dfrac{\epsilon^2}{1}-\left(\dfrac{1\cdot 3}{2\cdot 4}\right)^2\dfrac{\epsilon^4}{3}\cdots\right\}$

・ $a=b$ のときは $\epsilon=0$,$L=2\pi a$ となり円周の長さの公式と一致します。

楕円の周の長さの導出

冒頭の公式を三段階に分けて証明します。三つの道具を知っていれば簡単です!

1.周長をとりあえず積分で書き下す。
使う道具:弧長積分の公式

まず,楕円を $x=a\cos\theta$,$y=b\sin\theta$ と媒介変数表示する。
弧長の公式より
$L=4\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{(-a\sin\theta)^2+(b\cos\theta)^2}d\theta\\
=4a\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{\sin^2\theta+\frac{b^2}{a^2}\cos^2\theta}d\theta\\
=4a\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{1-\epsilon^2\cos^2\theta}d\theta$

これは(第二種)楕円積分と呼ばれるもので一発で計算することはできません。


2.ルートを級数展開する。
使う道具:一般化二項定理とルートなどの近似

一般化二項定理を用いて被積分関数を展開する:
$\sqrt{1-\epsilon^2\cos^2\theta}=\displaystyle\sum_{t=0}^{\infty}(-1)^t{}_{\frac{1}{2}}\mathrm{C}_t\epsilon^{2t}\cos^{2t}\theta$

ただし,
${}_{\frac{1}{2}}\mathrm{C}_t=\dfrac{\frac{1}{2}(\frac{1}{2}-1)\cdots(\frac{1}{2}-t+1)}{t!}\\
=\dfrac{(-1)(-3)\cdots (-2t+3)}{2^tt!}\\
=(-1)^{t-1}\dfrac{(2t-3)!!}{(2t)!!}\\
=\dfrac{(-1)^{t-1}}{2t-1}c_t$

以上より,$L=4a\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sum_{t=0}^{\infty}\dfrac{(-1)}{2t-1}c_t\epsilon^{2t}\cos^{2t}\theta d\theta$

ここで,積分とシグマを交換する(厳密には一様収束→項別積分可能を使う):
$L=-4a\displaystyle\sum_{t=0}^{\infty}\dfrac{c_t\epsilon^{2t}}{2t-1}\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\cos^{2t}\theta d\theta$


3. $\cos^{2t}$ を積分する。
使う道具:sinのn乗,cosのn乗の積分公式

$\cos$ の $n$ 乗の積分公式より
$\displaystyle\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\cos^{2t}\theta d\theta=\dfrac{\pi}{2}c_t$ となる。

よって,$L=2\pi a\displaystyle\sum_{t=0}^{\infty}c_t^2\dfrac{\epsilon^{2t}}{1-2t}$

楕円周の長さの近似

冒頭の公式を適当な項で打ち切れば楕円の周の長さを近似することができます。例えば最初の項のみで近似すると $2\pi a$ となります。

しかし,上記の無限級数は収束が遅いです。そこで,以下のような別の近似公式を使うと精度よく近似することができます。

・楕円が円に近い場合:Gauss-Kummerの公式
$L=\pi (a+b)\left\{1+(\frac{1}{2})^2h^2+(\frac{1}{2\cdot 4})^2h^4+(\frac{1\cdot 3}{2\cdot 4\cdot 6})^2h^6+\cdots\right\}$
ただし,$h=\dfrac{a-b}{a+b}$
最初の項のみで近似すると $\pi(a+b)$

・楕円がつぶれている場合:Cayleyの公式
$\log$ とかが入ってきて複雑なので略。
最初の項のみで近似すると $4a$

注:近似公式についてはTHE PERIMETER OF AN ELLIPSE(英語のPDF)を参考にしました。

!!という記号は威圧感抜群ですね。
分野: 二次曲線  レベル: 大学数学