2015/06/03

楕円の反射定理とその証明

分野: 二次曲線  レベル: 最難関大学

定理:楕円の焦点から出た光は,反射してから反対側の焦点を通る。

楕円に関する有名な定理です。証明するのは意外と(計算が)大変ですが,座標計算のよい練習になります。

証明すべきこと

証明すべきことをもう少しきちんと書きます。

問題

楕円 $\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1\:(a > b > 0)$ の焦点を $F,F’$とおく。この楕円上の点 $A(x_0,y_0)$ における接線を $l$ とおく。 $l$ と $FA$ がなす角と,$l$ と $F’A$ がなす角が等しいことを証明せよ。

楕円の反射公式

これが証明されれば,$F$ から $A$ に向かって出た光が $A$ で反射して $F’$に向かうことが分かります(光が反射するとき,入射角と反射角は等しいので)。

証明が結構長いので3ステップに分けて解説します。
1.辺の条件にする(考え方重要)
2.各部分の長さを求める(計算テクニック重要)
3.最後の詰め(ただの作業)

ステップ1:辺の条件にする

$y_0=0$ のとき定理が成り立つのは自明なので,$y_0\neq 0$ として考えます。

角度の条件を座標で扱うのは難しいので,角の二等分線定理を用いて辺の条件に言い換えます。

証明

$A$ における法線と $x$ 軸との交点を $B$ とおく。 $\angle FAB=\angle F’AB$ を証明すればよい。これは(角の二等分線定理より),$AF:AF’=BF:BF’$と同値。

あとは,$AF$ などの長さを求めて上式を確認すればよい!

ステップ2:各部分の長さを求める

ここからやることは一本道ですが,計算がけっこう大変です。
$AF$ については後述の余談を知っていると安心できます。
$BF$ については楕円の法線の方程式(→垂直な直線の方程式の求め方と応用の記事末)を知っていると楽です。

証明の続き

$F(\sqrt{a^2-b^2},0),\:F'(-\sqrt{a^2-b^2},0)$ に注意する。

・ $AF,AF’$の長さ
三平方の定理より,$AF^2=(x_0-\sqrt{a^2-b^2})^2+y_0^2$
ここで,$\dfrac{x_0^2}{a^2}+\dfrac{y_0^2}{b^2}=1$ を用いて $y_0$ を消去すると,
$AF^2=x_0^2-2x_0\sqrt{a^2-b^2}+a^2-b^2+b^2-\dfrac{b^2x_0^2}{a^2}\\
=(1-\dfrac{b^2}{a^2})x_0^2-2x_0\sqrt{a^2-b^2}+a^2\\
=(x_0\dfrac{\sqrt{a^2-b^2}}{a}-a)^2$
($x_0\leq a$ より)
$AF=a-x_0\dfrac{\sqrt{a^2-b^2}}{a}$
また,$AF+AF’=2a$ より,$AF’=a+x_0\dfrac{\sqrt{a^2-b^2}}{a}$

・ $BF,BF’$の長さ
楕円の $A$ における法線は,$\dfrac{x_0}{a^2}(y-y_0)-\dfrac{y_0}{b^2}(x-x_0)=0$ である。
この式で $y=0$ とすることで,$B$ の $x$ 座標が $x_0-x_0\dfrac{b^2}{a^2}$ と分かる。
よって,$BF=\sqrt{a^2-b^2}-x_0(1-\dfrac{b^2}{a^2})$
$BF’=\sqrt{a^2-b^2}+x_0(1-\dfrac{b^2}{a^2})$

余談:$AF$ を求めたときの議論により楕円上の点 $A$ と焦点の距離はきれいになる($A$ の $x$ 座標の一次式になる)ことが分かります。これはけっこう重要な事実です(この事実を知っていると上記のように見通しよく計算できる)。

ステップ3:最後の詰め

普通に $AF\times BF’$と $AF’\times BF$ を計算してもOKですが,よく観察するとショートカットできます。

証明の続き

$AF\times \dfrac{\sqrt{a^2-b^2}}{a}=BF$,$AF’\times \dfrac{\sqrt{a^2-b^2}}{a}=BF’$
となっていることが分かるので証明すべき比の式が示された。

双曲線でも同様の性質が成り立ちます!
分野: 二次曲線  レベル: 最難関大学