最終更新:2018/11/04

背理法の意味といろいろな例

分野: 集合,命題,論証  レベル: 入試対策

背理法とは
「命題が正しくないと仮定する」
「その結果,矛盾してしまう」
「よって,命題は正しい」
という流れで証明を行う手法のこと。

背理法の意味と,いろいろな例について解説します。

背理法とは

背理法は数学における証明の手法の1つです。以下の例題を使って,背理法について解説します。

例題1

$\sqrt{2}$ が無理数であることを証明せよ。

証明

$\sqrt{2}$ が有理数だと仮定する。
つまり,$\sqrt{2}=\dfrac{q}{p}$($p$ と $q$ は互いに素な自然数)と書けるとする。
このとき,$2p^2=q^2$
左辺は偶数なので右辺も偶数。よって,$q$ は偶数。すると,右辺は $4$ の倍数になるので $p$ も偶数。
これは $p$ と $q$ が互いに素であることに矛盾。
よって,背理法により題意は示された。

このように,
1. 命題が正しくないと仮定する
2. その結果,矛盾してしまう
3. よって,命題は正しい
という流れで証明を行うのが背理法です。

注:背理法の導入のために,わざわざ背理法を使いましたが,ルート2の無理数性の証明には他にもいろいろな方法があります。→ルート2が無理数であることの4通りの証明

背理法を使って「全て異なる」を証明する

例題1は,背理法を使う最も有名な例の1つでした。次は,もう少し難しい背理法の例題を解いてみましょう。

例題2

$a$ と $b$ は互いに素な正の整数とする。 $0,a,2a,\cdots, (b-1)a$ を $b$ で割った余りは全て異なることを証明せよ。

証明

$0,a,2a,\cdots, (b-1)a$ の中に $b$ で割った余りが同じであるような二つの数が存在したと仮定する。これを $ia$ と $ja$ とおく $(0\leq i <j\leq b-1)$ 。

このとき $ja-ia=(j-i)a$ は $b$ の倍数。

一方,

  • $a$ は $b$ と互いに素
  • $1 \leq j-i \leq b-1$

より,$(j-i)a$ は $b$ の倍数にはなり得ない。矛盾。背理法により題意は示された。

注:これは一次不定方程式の背景にある有名な定理です。→一次不定方程式ax+by=cの整数解

背理法のいろいろな例

背理法を使って証明できる命題を集めました。上の二つの例題よりもかなり難しいものが多いです。詳細はリンク先をどうぞ。

・ $\tan 1^{\circ}$ は無理数である。
 →tan1°が無理数であることの証明

・ネイピア数 $e$ は無理数である。
 →ネイピア数eが無理数であることの証明

・フロベニウスの硬貨交換問題(主張1の部分)
 →フロベニウスの硬貨交換問題

・レイリーの定理(整数問題のややマニアックな定理)
 →レイリーの定理とその自然な証明

・素数は無限にある
 →素数が無限にあることの美しい証明

「背理法は好きじゃない」という人もいますが,僕は背理法けっこう好きです。

Tag: 数学1の教科書に載っている公式の解説一覧

分野: 集合,命題,論証  レベル: 入試対策