分野: 線形代数


クラメルの公式:
連立方程式 $A\overrightarrow{x}=\overrightarrow{b}$ の解は,
$x_i=\dfrac{\det A_i}{\det A}$
である。ただし,$x_i$ は $\overrightarrow{x}$ の第 $i$ 成分であり, $A_i$ は $A$ の第 $i$ 列の部分を $\overrightarrow{b}$ にしたもの。


正方行列 $A$,$\overrightarrow{0}$ でないベクトル $\overrightarrow{x}$,スカラー $\lambda$ の間に
$A\overrightarrow{x}=\lambda \overrightarrow{x}$
が成立するとき $\overrightarrow{x}$ を $A$ の固有ベクトル,$\lambda$ を $A$ の固有値と言う。

固有値,固有ベクトルの重要性,および正方行列が与えられたときに固有値と固有ベクトルを求める具体的な計算方法を解説します。


行列の(一般的な)積:
行列 $A=(a_{ij}),B=(b_{ij})$ に対してその積 $AB$ を
$C=(c_{ij})$ ただし, $c_{ij}=\displaystyle\sum_{k=1}^na_{ik}b_{kj}$
で定義する。ただし,$A$ の列数と $B$ の行数($=n$ とおく)が一致しているときのみ積 $AB$ は定義される。

行列積計算の具体例,なぜこのように積が定義されるのか。


行列 $A,B,C,D$ に対して
$(A+BDC)^{-1}=A^{-1}-A^{-1}B(D^{-1}+CA^{-1}B)^{-1}CA^{-1}$
(ただし,行列の積が定義できるような適切なサイズ,および $A$ などの逆行列の存在を仮定します)

特に $D=I$ のとき,
$(A+BC)^{-1}=A^{-1}-A^{-1}B(I+CA^{-1}B)^{-1}CA^{-1}$

逆行列の補助定理,Sherman–Morrison–Woodburyの公式,Woodburyの恒等式,シャーマンモリソン公式などいろいろな呼び方があります。

一見複雑な形をしていますが,非常に美しい行列恒等式です。


$ij$ 成分が $a_{ij}$ であるような行列を $A$ とする。このとき, $a_{ji}$ を $ij$ 成分とするような行列を $A$ の転置行列と言い,$A^{\top}$ などと表す。

いろいろなところで登場する「行列の転置」に関する話題。重要な性質とその証明を整理しました。


$A^{\top}A$ が正則なとき,$\|Ax-b\|$ を最小にする $x$ はただ一つであり,それは正規方程式:$A^{\top}Ax=A^{\top}b$ を解くことで得られる。

前半は正規方程式を用いた最小二乗法の計算の具体例。後半は正規方程式の導出。


一次独立の定義:
以下の条件を満たすとき,ベクトル $\overrightarrow{v}_1,\cdots,\overrightarrow{v}_k$ は一次独立であるという。
条件:$\displaystyle\sum_{i=1}^kc_i\overrightarrow{v}_i=\overrightarrow{0}$ を満たす実数 $c_1,\cdots, c_k$ の組は $c_1=\cdots =c_k=0$ のみ。

高校数学で扱う平面ベクトルで $k=2$ の場合の具体例を中心に解説します。


行列 $A$ に対して,$Ax=\overrightarrow{0}$ を満たすベクトル $x$ の集合を $A$ のカーネル(または核)と言い,$\mathrm{Ker}\:A$ と書くことが多い。

線形代数における重要な概念「カーネル」について解説します。


定数係数の隣接 $k+1$ 項間漸化式:
$a_{n+k}=p_{k-1}a_{n+k-1}+p_{k-2}a_{n+k-2}+\cdots +p_1a_{n+1}+p_0a_n$
について,$k$ 次方程式
$\phi(\lambda)=\lambda^k-p_{k-1}\lambda^{k-1}-p_{k-2}\lambda^{k-2}-\cdots -p_1\lambda-p_0=0$
を特性方程式と言う。特性方程式の解 $\lambda_1,\cdots, \lambda_k$ が全て異なるとき,数列 $a_n$ の一般項は $a_n=C_1\lambda_1^n+C_2\lambda_2^n+\cdots +C_k\lambda_k^n$
と表せる($C_1,\cdots,C_k$ は初期条件によって決まる定数)。


ビネ・コーシーの定理:
$A$ を $m\times n$ 行列,$B$ を $n\times m$ 行列とする。
$m\leq n$ なら, $\det AB=\displaystyle\sum_{S}\det A[S]\det B[S]$

$A$,$B$ は正方行列とは限りませんが,$AB$ は $m\times m$ の正方行列なので行列式が定義できます。行列積 $AB$ の行列式を $A$ の(部分行列の)行列式と $B$ の(部分行列の)行列式で表す美しい公式です。


行列の指数関数:
正方行列 $A$ に対して, $e^{A}=\displaystyle\sum_{k=0}^{\infty}\dfrac{A^k}{k!}$ $\:=I+A+\dfrac{A^2}{2!}+\dfrac{A^3}{3!}+\cdots$
と定義する。


$n\times n$ の正方行列 $A$ に対して以下の条件は同値である:

  1. $AB=BA=I$(単位行列)となる行列 $B$ が存在する
  2. $\det A\neq 0$
  3. $\mathrm{rank}\:A=n$
  4. $\mathrm{Ker}\:A=\{\overrightarrow{0}\}$
  5. 全ての $A$ の固有値が $0$ でない

$n\times n$ の正方行列 $A=(a_{ij})$ について,
「 $i > j$ ならば $a_{ij}=0$ 」を満たす行列を上三角行列
「 $i < j$ ならば $a_{ij}=0$ 」を満たす行列を下三角行列
という。


$\begin{pmatrix}1&2&0&0&0\\3&4&5&0&0\\0&6&7&8&0\\0&0&9&10&11\\0&0&0&12&13\end{pmatrix}$ のように,
対角成分とそれに隣接する成分(副対角成分)以外が $0$ であるような正方行列を三重対角行列と言う。