分野: 不等式


Schur(シュール)の不等式:
$r>0, x, y, z\geq0$ に対して,
$x^r(x-y)(x-z)+y^r(y-z)(y-x)+z^r(z-x)(z-y)\geq 0$ 等号成立条件は,
$x=y=z$ or $x, y, z$ のうち1つが0で残りの2つが等しい場合。

追記:$r > 0$ という条件は不要でした。任意の実数 $r$ に対して成立します。($r\leq 0$ のとき等号成立条件は $x=y=z$)


イェンゼンの不等式(Jensen,凸関数の不等式)
$f(x)$ が凸関数のとき,
任意の $\lambda_i\geq 0,\:x_i\:(i=1,\cdots,n),\:\displaystyle\sum_{i=1}^n\lambda_i=1$
に対して,
${\displaystyle\sum_{i=1}^{n}\lambda_if(x_i)}\geq f({\displaystyle\sum_{i=1}^{n}\lambda_ix_i})$


シュワルツの不等式の応用例として頻出な形を紹介します。

分数の和を下から抑える公式:
$b_i>0 (i=1\cdots n)$ のとき,以下の不等式が成立する。
$\sum\dfrac{a_i^2}{b_i}\geq \dfrac{(\sum a_i)^2}{\sum b_i}$
等号成立条件は $\overrightarrow{a}$ と $\overrightarrow{b}$ が平行であること。

シグマの和は $1$ から $n$ まで取る。


Muirheadの不等式:
各成分が非負で非増加な数列 $a=(a_1, a_2,\cdots , a_n), b=(b_1, b_2,\cdots, b_n)$ と,任意の非負実数 $x_1, x_2, \cdots, x_n$ に対して,$[a]\succeq [b]$ ならば
$\displaystyle\sum_{sym}\prod_{i=1}^nx_i^{a_i}\geq\displaystyle\sum_{sym}\prod_{i=1}^nx_i^{b_i}\\$
等号成立条件は,$a=b$ または, $x_1=x_2=\cdots=x_n$

この不等式は一見抽象的で意味不明ですが,具体的に書いてみればなんてことありません。要するに,「対称式ならベキが偏っている方が大きい」ということです。


並べ替え不等式(rearrangement inequality):
$x_1\geq x_2\geq\cdots\geq x_n\\y_1\geq y_2\geq\cdots \geq y_n$,
$1, 2, \cdots, n$ の並べ替え $\sigma(1), \sigma(2), \cdots, \sigma(n)$ に対して,
$\displaystyle\sum_{i=1}^nx_iy_i\geq\sum_{i=1}^nx_iy_{\sigma(i)}\geq\sum_{i=1}^nx_iy_{n-i+1}$


ヘルダーの不等式:
$a_{ij}\geq 0,w_i > 0, \displaystyle\sum_{i=1}^mw_i=1$ のとき,
$\displaystyle\prod_{i=1}^m(\sum_{j=1}^na_{ij})^{w_i}\geq \sum_{j=1}^n(\prod_{i=1}^ma_{ij}^{w_i})$
等号成立条件は
$m$ 本のベクトル$(a_{1j},a_{2j},\cdots,a_{nj})\:(j=1,2,\cdots ,m)$ たちが全て平行

一般形はとても複雑なので理解できなくても構いません,頻出系を覚えて下さい!


条件式 $abc=1$ を持つ不等式証明の問題では以下のいずれかの変換を用いるとうまくいく場合が多い。
変換1:$a=\dfrac{x}{y}, b=\dfrac{y}{z}, c=\dfrac{z}{x}$
変換2:$a=\dfrac{1}{x}, b=\dfrac{1}{y}, c=\dfrac{1}{z}$


isolated fudging:
$f(a, b, c)+f(b, c, a)+f(c, a, b)\geq k$
を証明する代わりに
$f(a, b, c)\geq \dfrac{ka^r}{a^r+b^r+c^r}$
を証明する手法


Karamataの不等式:

  • $[a]\succeq [b]$ を満たす実数の列 $a=(a_1, a_2,\cdots , a_n), b=(b_1, b_2,\cdots, b_n)$
  • $f(x)$ は微分可能で凸

このとき,
$f(a_1)+f(a_2)+\cdots +f(a_n)\geq f(b_1)+f(b_2)+\cdots +f(b_n)$

このページではKaramataの不等式の意味,応用例,証明を解説します。


ニュートン(Newton)の不等式:
$n$ 変数の $k$ 次の基本対称式を $S(n,k)$ とおき,$d(n,k)=\dfrac{S(n,k)}{{}_n\mathrm{C}_{k}}$ とおく。
このとき, $d(n,k)^2\geq d(n,k-1)d(n,k+1)$

等号成立条件は全ての変数の値が等しいことです。


フランダース(Flanders)の不等式:
任意の三角形 $ABC$ について,
$\sin A\sin B\sin C\leq\left(\dfrac{3\sqrt{3}}{2\pi}\right)^3ABC$

Abi-Khuzam の不等式とも言います。右辺の $ABC$ は,角 $A$,角 $B$,角 $C$ それぞれの(弧度法での)大きさの積という意味です。角度とその $\sin$ が混在している幾何不等式です。