2016/01/14

カントール集合とその性質

分野: 集合,命題,論証  レベル: マニアック

区間 $[0,1]$ から「線分を三等分して真ん中を取り除く」という操作を無限回繰り返して得られる集合をカントール集合という。

カントール集合という不思議な集合を紹介します。

カントール集合とは

まず $[0,1]$ を三等分して真ん中を取り除くと,$\left[0,\frac{1}{3}\right]\cup \left[\frac{2}{3},1\right]$ となります。

カントール集合

さらにそれぞれを三等分して真ん中を取り除くと,
$\left[0,\frac{1}{9}\right]\cup \left[\frac{2}{9},\frac{1}{3}\right]\cup\left[\frac{2}{3},\frac{7}{9}\right]\cup\left[\frac{8}{9},1\right]$ となります。

これを無限回繰り返して得られる集合をカントール集合と言います。

区間 $[0,1]$ 内の実数 $x$ がカントール集合に属する $\iff$ $x$ の三進数展開に $1$ が登場しないと表現することもできます。
実際,三進数展開の小数第 $k$ 位に(はじめて)$1$ があらわれるものは $k$ 回目の操作で切り取られます。

カントール集合の次元

カントール集合は自己相似(フラクタル)です。

自分自身を $\dfrac{1}{3}$ 倍に縮小したものを $2$ つ持ってくれば自分自身を再構成できるので,フラクタル次元(ハウスドルフ次元)は $\dfrac{\log 2}{\log 3}\simeq 0.63$ です。線分は1次元なので,線分よりは中身スカスカという感じです。

注:ハウスドルフ次元については,→コッホ曲線の次元,曲線の長さなど

カントール集合の測度

カントール集合のルベーグ測度(大きさのようなもの)は $0$ です。区間 $[0,1]$ から一様ランダムに実数を $1$ つ選んだとき,その実数がカントール集合に属している確率は $0$ というイメージです。

説明

毎回の操作で「線分の長さの和」は $\dfrac{2}{3}$ 倍されていくので,無限回繰り返すと「線分の長さの和」は $0$ に収束する。

カントール集合の濃度

カントール集合の濃度は実数の濃度と同じです。ルベーグ測度は $0$ であるにもかかわらず,実数全体との間に全単射が存在する(実数と同じくらい要素がたくさんある,カントール集合は非可算集合である)のです。

注:濃度については→集合の濃度と可算無限・非可算無限

証明の概略

  • 実数全体の集合と開区間$(0,1)$ の間には全単射が存在する。
    $y=\tan x$ を適切に縮小,平行移動すれば全単射を構成できる。
  • 開区間$(0,1)$ と閉区間 $[0,1]$ の間には全単射が存在する。
    ベルンシュタインの定理から分かる。→ベルンシュタインの定理とその証明
  • 閉区間 $[0,1]$ とカントール集合の間には全単射が存在する。
    カントール集合に属する実数 $x$ に対して,$x$ の三進数展開の $2$ を $1$ にしたものを二進数表示に持つ実数 $y$ を対応させる。例えば,
    $x=\dfrac{3}{4}=\dfrac{2}{3}+\dfrac{2}{3^3}+\dfrac{2}{3^5}+\cdots=0.20202\cdots$(三進数表示)
    に対して,
    $y=0.10101\cdots$(二進数表示)$=\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{2^3}+\dfrac{1}{2^5}+\cdots =\dfrac{2}{3}$
    を対応させる。
自分はフラクタルについてあまり詳しくありません。他にも面白いネタがあればご一報ください。
分野: 集合,命題,論証  レベル: マニアック