2014/06/13

部分分数分解の3通りの方法

分野: 式の計算  レベル: 入試対策

部分分数分解:
分母が因数分解されているような分数はいくつかの分数に分解できる。

具体例を通じて3通りの方法を比較しながら解説します。

  • 方法1:分母を払って係数を比較する
  • 方法2:分母を払って数値を代入する
  • 方法3:形を見て直感で分解する

方法1:分母を払って係数を比較する

一番簡単な例から解説します。

例1

$\dfrac{1}{(x-2)(x-5)}$ を部分分数分解せよ。

解答

$\dfrac{1}{(x-2)(x-5)}=\dfrac{a}{x-2}+\dfrac{b}{x-5}$ と分解できる(この事実は証明なしに用いてよい,→注)。
両辺の分母を払うと,$1=a(x-5)+b(x-2)$
これが恒等式となるので係数を比較して,
$0=a+b, 1=-5a-2b$
これを解くと $a=-\dfrac{1}{3}, b=\dfrac{1}{3}$ となるので,
$\dfrac{1}{(x-2)(x-5)}=\dfrac{1}{3}\dfrac{1}{x-5}-\dfrac{1}{3}\dfrac{1}{x-2}$

注:部分分数分解の一般形はかなり複雑です。→ヘビサイドの展開定理


この方法は以下のような複雑な例でも使えますが,計算がめんどくさいです。

例2

$\dfrac{1}{(x-1)^2(x-2)}$ を部分分数分解せよ。

解答

$\dfrac{1}{(x-1)^2(x-2)}=\dfrac{a}{x-1}+\dfrac{b}{(x-1)^2}+\dfrac{c}{x-2}$ と分解できる(この事実も証明なしに用いてよい)。
分母を払うと,$1=a(x-1)(x-2)+b(x-2)+c(x-1)^2$
気合いで展開して係数比較すると,
$0=a+c, 0=-3a+b-2c, 1=2a-2b+c$
これを解くと,$a=-1, b=-1, c=1$

この方法のメリット:

  • 部分分数分解の全てのパターンに使える
  • 多くの教科書に乗っている最も定番の手法

この方法のデメリット:

  • ・計算がめんどくさい

方法2:分母を払って数値を代入する

方法1ほどではありませんが,この方法も定番です。

例1の別解

分母を払うところまでは同じ:
$1=a(x-5)+b(x-2)$
ここで,$x=5$ を代入すると,$b=\dfrac{1}{3}$
$x=2$ を代入すると,$a=-\dfrac{1}{3}$ が分かる。


例2の別解

分母を払うところまでは同じ:
$1=a(x-1)(x-2)+b(x-2)+c(x-1)^2$
$x=0,1,2$ を代入して,
$1=2a-2b+c, 1=-b, 1=c$
これを解いて,$a=-1, b=-1, c=1$

この方法のメリット:

  • 部分分数分解の全てのパターンに使える

この方法のデメリット:

  • 計算が少しめんどくさいけど方法1よりはかなり楽

方法3:形を見て直感で分解する

例1のような単純な形:$\dfrac{p}{(x-q)(x-r)}$ なら直感で分解できます。

例1の別解

$\dfrac{1}{(x-2)(x-5)}$ の分母に着目して,分数の引き算をつくってみる:
$\dfrac{1}{x-5}-\dfrac{1}{x-2}=\dfrac{x-2-x+5}{(x-2)(x-5)}$
右辺の形を調節するために両辺を $3$ で割ると求める部分分数分解を得る


もう少し複雑な形でも因数が2つならこの方法が使えます。

例3

$\dfrac{5}{({2}x-1)(2-x)}$ を部分分数分解せよ。

解答

分母に着目して分数の引き算をつくってみる(通分したときに分子の $x$ の項が消えるように調整):
$\dfrac{2}{{2}x-1}-\dfrac{1}{x-2}=\dfrac{2{x}-4-{2}x+1}{({2}x-1)(x-2)}$
両辺を $\dfrac{5}{3}$ 倍すると求める部分分数分解を得る:
$\dfrac{5}{3}(\dfrac{2}{{2}x-1}-\dfrac{1}{x-2})=\dfrac{5}{({2}x-1)(2-x)}$

この方法のメリット:

  • 計算がとても楽
  • 実戦で登場する多くの問題は方法3が使える形

この方法のデメリット:

  • $\dfrac{p}{(x-q)(x-r)}$ の形にしか使えない
使える時には方法3を積極的に使って,使えない時は方法1と方法2のうちで自分の好きな方を使いましょう。

Tag: 数学2の教科書に載っている公式の解説一覧

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