2015/08/13

微分方程式の階数,線形性などの意味と具体例

分野: 解析  レベル: 大学数学

微分方程式の基本的な分類(常,偏,階数,線形性,同次,非同次)について解説。後半では物理で登場する様々な具体例を通じて理解を深めます。

$y$ の $n$ 次導関数を $y^{(n)}$ と表記します。

常微分方程式と偏微分方程式

常微分方程式:未知の一変数関数 $y(x)$ とその導関数 $y’,y^{(2)},\cdots$ を含む方程式

偏微分方程式:未知の多変数関数 $f(x,y,\cdots)$ とその偏導関数 $f_x,f_y,f_{xx},\cdots$ を含む方程式

以下,主に常微分方程式で説明しますが,階数や線形性などの定義は偏微分方程式の場合も同様です。

微分方程式の階数

最大 $n$ 階の導関数が登場するような微分方程式を $n$ 階の微分方程式と言います。

  • $y’=1$ は一階の微分方程式
  • $my^{(2)}=-ky$ は二階の微分方程式
  • $y^{(3)}x=y’x^4$ は三階の微分方程式

微分方程式の線形性

$y^2$ や $yy’$などの項を含まない以下のような微分方程式を線形微分方程式と言います:
$P_n(x)y^{(n)}+P_{n-1}(x)y^{(n-1)}+\cdots +P_1(x)y’+P_0(x)y=Q(x)$

$P_i(x)$ たちがどんなに複雑な関数でも,線形微分方程式と言います。

また,$P_i(x)$ たちが全て定数($Q(x)$ は定数でなくてもよい)である微分方程式を定数係数線形微分方程式と言います。

$y’x+y=x^3$ は線形微分方程式
$y’+yy’=0$ は非線形微分方程式
$y^{(3)}+3y’+y=\sin x$ は定数係数線形微分方程式

同次,非同次

線形微分方程式において,

同次微分方程式:ゼロでない項は必ず $y,y’,y^{(2)},\cdots$ のいずれかを含むもの,つまり $Q(x)=0$ のもの

非同次微分方程式:同次でないもの,つまり $Q(x)\neq 0$ のもの


なお,線形同次微分方程式には以下のような嬉しい性質(重ね合わせの原理)が成立します。

線形同次微分方程式について,$y_1$ が解ならその定数倍 $cy_1$ も解。 $y_1,y_2$ が解ならその和 $y_1+y_2$ も解。

物理で登場する多くの方程式は線形同次微分方程式です!

いろいろな微分方程式の例

・バネの運動方程式
$mx^{(2)}=-kx$
二階の定数係数線形常微分方程式(同次)

・強制振動
$mx^{(2)}+kx=F\cos\omega t$
二階の定数係数線形常微分方程式(非同次)

・LR回路
$V=RI+L\dfrac{dI}{dt}$
一階の定数係数線形常微分方程式(非同次)

・一次元の波動方程式
$\dfrac{\partial^2 f}{\partial t^2}=c^2\dfrac{\partial^2 f}{\partial x^2}$
二階の定数係数線形偏微分方程式(同次)

・三次元のポアソン方程式
$\dfrac{\partial^2 \phi}{\partial x^2}+\dfrac{\partial^2 \phi}{\partial y^2}+\dfrac{\partial^2 \phi}{\partial z^2}=f(x,y,z)$
二階の定数係数線形偏微分方程式(非同次)
$f\equiv 0$ としたものがラプラス方程式です。

ちなみに,僕の好きな微分方程式は波動方程式です。
分野: 解析  レベル: 大学数学