2015/05/31

べき関数(y=x^n)の微分公式の3通りの証明

分野: 極限,微分  レベル: 基本公式

べき関数の微分:
1.任意の正の整数に対し,$(x^n)’=nx^{n-1}$
2.より一般に,任意の実数 $\alpha$ に対し,$(x^{\alpha})’=\alpha x^{\alpha-1}$

1を三通りの方法で証明します。三番目の方法は2の証明にも適用できます。

二項定理を用いた定番の証明

ほとんどの教科書で採用されている定番&自然な方法です。

証明

微分の定義より,$x^n$ の導関数は,
$\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{(x+h)^n-x^n}{h}$
この分子を二項定理を用いて展開すると,
$\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{nhx^{n-1}+{}_n\mathrm{C}_2h^2x^{n-2}+\cdots +h^n}{h}\\
\displaystyle\lim_{h\to 0}(nx^{n-1}+{}_n\mathrm{C}_2hx^{n-2}+\cdots +h^{n-1})
=nx^{n-1}$
を得る(第二項以降は $h\to 0$ で全部消える)。

数学的帰納法による証明

積の微分公式と数学的帰納法を用いる方法です。自然数に対する命題の証明には数学的帰納法!

証明

$n$ に関する数学的帰納法で証明する。
・ $n=1$ のとき,$x$ の微分は $\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{(x+h)-x}{h}=1$ となり公式は正しい

・ $n=k$ のとき正しい,つまり$(x^k)’=kx^{k-1}$ と仮定すると,積の微分公式より
$(x^{k+1})’=(x\cdot x^k)’\\
=1\cdot x^k+x\cdot (kx^{k-1})\\
=(k+1)x^k$
となり $n=k+1$ のときも正しい。

対数微分法による証明

対数微分法を用いて証明することもできます。

証明

・ $x > 0$ の範囲について
$y=x^n$ の両辺の対数を取ると,$\log y=n\log x$
両辺を $x$ で微分すると,$\dfrac{y’}{y}=\dfrac{n}{x}$
よって,$y’=\dfrac{ny}{x}=nx^{n-1}$

・ $x <0$ の範囲について
$n$ が偶数のとき,$f'(x)$ は奇関数。
$n$ が奇数のとき,$f'(x)$ は偶関数。
(定義からも分かるし,グラフの形状からも分かる)
である。これと $x > 0$ の場合の結果よりOK。

・ $x=0$ について
微分係数の定義より,$\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{h^{n}}{h}=
\begin{cases}
1&n=1\\
0&n\neq 1
\end{cases}$
となり,$y’=nx^{n-1}$ を満たしている。

べき関数 $y=x^n$ の微分公式の証明に,より難しい関数 $y=\log x$ の微分公式を用いるので,僕はあまり好きではありません。ただ,この方法を使えばより一般の場合(冒頭の公式2)も証明できます。

xのn乗の微分とaのx乗の微分は大違いです。混同する人が多いので注意して下さい。

Tag: 微分公式一覧(基礎から発展まで)
Tag: 数学2の教科書に載っている公式の解説一覧

分野: 極限,微分  レベル: 基本公式