2014/07/05

内接円に関する数オリ頻出の図形

分野: 平面図形  レベル: 数学オリンピック

bdcf

定理:三角形 $ABC$ の内接円と辺 $BC$ の接点を $D$ とおく。 $D$ から辺 $BC$ と垂直な直線と内接円の交点を $E$ とおく。さらに $AE$ と $BC$ の交点を $F$ とおくとき, $BD=CF$


上記の定理の証明を2通りの方法で行います。また応用例として国際数学オリンピックの過去問も解説します。

定理の証明その1

まずは愚直に計算する方法です。少し大変ですがほとんど機械的な計算で証明できます。

方針:三角形 $ABC$ の情報で全ての長さを表していきます。 $BD$ は内心と傍心の性質の比較の性質2から瞬時に求まります。あとは $CF$ の長さを求めればよいのですが,直角三角形の1辺である $DF$ の方が計算しやすそうなので頑張って $DF$ を計算します。

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証明

$b=c$ のときは二等辺三角形となり自明なので対称性より $c <b$ の場合のみ証明すればよい。
内接円の性質より $BD=\dfrac{1}{2}(a-b+c)$
$DF=x$ とおき,$x$ を全力で求めにいく。
$A$ から $BC$ に引いた垂線の足を $H$ とおくと,三角形 $FED$ と $FAH$ が相似なので
$x\times AH=ED\times FH$
これに,$ED=2r=\dfrac{4S}{a+b+c}=\dfrac{2ac\sin B}{a+b+c}$
$AH=c\sin B$
$FH=FB-BH=x+\dfrac{1}{2}(a-b+c)-c\cos B$
を代入すると,
$x(a+b+c)=2ax+a(a-b+c)-2ac\cos B$
余弦定理を用いて $\cos B$ を消去する:
$x(-a+b+c)=-a(b-c)+(b+c)(b-c)$
よって,右辺が因数分解できて $x=b-c$ が分かる。
よって $CF=a-x-\dfrac{1}{2}(a-b+c)=\dfrac{1}{2}(a-b+c)=BD$

定理の証明その2

相似を用いたエレガントな方法です!

方針:内接円と傍接円の共通外接線の交点が $A$ なので $A$ は2つの円の相似の中心です。(直感的に明らかですが,気になる人は2つの円の相似の中心を参考に座標を用いて証明してみてください。)

証明

傍接円と $BC$ との接点を $F’$とおくと,$A$ が2つの円の相似の中心で $E,F’$が対応する点なので $A,E,F’$は同一直線上にある。よって $F’=F$,つまり $F$ は傍接円の接点。
よって内心と傍心の性質の性質2’より $CF=\dfrac{1}{2}(a-b+c)=BD$

数オリの問題に挑戦

1992年国際数学オリンピックロシア大会の第4問です。

問題

円 $C$ の接線 $l$ 上に点 $M$ がある。以下の条件を満たす点 $P$ の存在範囲を求めよ。
「 $l$ 上に $2$ 点 $Q,R$ が存在して,$QM=RM$ かつ $C$ が三角形 $PQR$ の内接円」

方針:上記の定理を知っていれば先ほどの図形が浮かんできます!

bdcf3

解答

$D,E$ は先ほどと同様。 $F$ は $M$ に関して $D$ と対称な点とする。
答えは「 $P$ が直線 $FE$ 上で $E$ に関して $F$ と反対側にあるとき(A)」である。

・条件を満たすなら(A)が成立すること
$PE$ と $l$ の交点を $F’$とおく。さきほどの定理より $QD=RF’$
条件を満たすとき,$QM=RM$ なので $F’M=DM$ であり,$F’=F$
つまり $PE$ と $l$ の交点は $M$ に関して $D$ と対称な点。

・(A)が成立するなら条件を満たすこと
さきほどの定理より $QD=FR$ よって $QM=RM$ となり $P$ は条件を満たす。

マニアックな形に見えますが結構よく出る構図です。

Tag: 国際数学オリンピックの過去問

分野: 平面図形  レベル: 数学オリンピック