2014/08/15

2変数の対称式と基本対称式の4つの性質

分野: 式の計算  レベル: 入試対策

変数を交換しても不変な多項式のことを対称式と言います。ここでは2変数の対称式を中心に,大学受験レベルで覚えておくべき性質を整理しました。

対称式と基本対称式

どの2つの変数を交換しても変わらない多項式のことを対称式と言います。

2変数の対称式の例:$x^3+5x^2y+5xy^2+y^3$
は $x$ と $y$ を交換すると,$y^3+5y^2x+5yx^2+x^3$ となりもとの多項式と変わらないので対称式である。

また,2変数の対称式の中でも $x+y, xy$ を基本対称式と言います。
3変数の基本対称式は $x+y+z, xy+yz+zx, xyz$ の3つです。
4変数の基本対称式は $x+y+z+w, xy+yz+zw+wx+xz+yw\\
xyz+xyw+xzw+yzw, xyzw$
の4つです。

基本対称式について覚えておくべき性質

4つとも非常に重要です,全て理解しておきましょう。

1:全ての対称式は基本対称式の多項式で表せる。

2:特に,$x^n+y^n$ の値は $x+y$ と $xy$ の値が分かれば機械的に計算できる。

3:さらに,$x^n+\dfrac{1}{x^n}$ の値は $x+\dfrac{1}{x}$ の値が分かれば機械的に計算できる。

4:基本対称式は解と係数の関係と相性がよい。

1は非常に美しくて奥が深い定理なので証明は別の機会に行おうと思います。入試を突破するためなら事実だけ覚えておけばOKです。以下では大学入試で頻出の性質2と3について解説します。

$x^n+y^n$ を基本対称式で表す漸化式

$T_n=x^n+y^n$ を $x+y,xy$ で表すことが目標です。まずは小さい部分で実際にやってみましょう:
$T_2=x^2+y^2=(x+y)^2-2xy\\
T_3=x^3+y^3=(x+y)^3-3xy(x+y)$
このように $n$ が小さい場合はその場で考えても作れますが,例えば $T_{7}=x^{7}+y^{7}$ とかになると途方に暮れてしまいます。

そこで役に立つのが以下の恒等式です:
$x^n+y^n=(x+y)(x^{n-1}+y^{n-1})-xy(x^{n-2}+y^{n-2})$
つまり, $T_n=(x+y)T_{n-1}-xyT_{n-2}$

この恒等式(漸化式)によって,「 $T_{n-1},T_{n-2}$ が基本対称式 $x+y$ と $xy$ で表せるなら $T_n$ も基本対称式で表せる」ことが分かります。

よって,数学的帰納法により $T_n$ が基本対称式で表せることが分かりました!(これは性質1の特殊ケースの証明になっている)

この漸化式を知らないと厳しい問題を紹介します。

例題

$x+y=1, xy=-1$ のとき $T_7=x^7+y^7$ を計算せよ。

解答

$T_2=(x+y)^2-2xy=3$
あとは先ほどの漸化式を使って黙々と計算します。
$T_3=T_2+T_1=4$
$T_4=T_3+T_2=7$
$T_5=T_4+T_3=11$
$T_6=T_5+T_4=18$
$T_7=T_6+T_5=29$

大学入試で頻出のタイプ

$y=\dfrac{1}{x}$ とした形の問題も頻出です。

先ほどの漸化式:$T_n=(x+y)T_{n-1}-xyT_{n-2}$
において $y=\dfrac{1}{x}$ を代入すると,
$x^n+\dfrac{1}{x^n}=(x+\dfrac{1}{x})(x^{n-1}+\dfrac{1}{x^{n-1}})-(x^{n-2}+\dfrac{1}{x^{n-2}})$
となることが分かります。

よって,先ほどと同様に
$x+\dfrac{1}{x}$ が分かれば $x^2+\dfrac{1}{x^2}$ も分かり,さらに漸化式で帰納的に $x^n+\dfrac{1}{x^n}$ が求まることが分かります。

最近暑いですね,こういうときは家の中で数学でもしましょう。
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