2014/12/14

三角関数の合成公式の証明と応用

分野: 三角比・三角関数  レベル: 基本公式

三角関数の合成公式(サイン):
($a$ と $b$ のいずれかが $0$ でないとき)
$a\sin\theta+b\cos\theta=\sqrt{a^2+b^2}\sin(\theta+\alpha)$
ただし,$\alpha$ は $\sin\alpha=\dfrac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}$,$\cos\alpha=\dfrac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}$ を満たす角度。

合成の応用例

例題1

$\sin\theta+\sqrt{3}\cos\theta$ を合成せよ。

解答

$a=1,b=\sqrt{3}$ の場合である。 $\sin\alpha=\dfrac{\sqrt{3}}{2},\:\cos\alpha=\dfrac{1}{2}$ より,$\alpha=\dfrac{\pi}{3}$ とすればよい(後述の簡便法を使うとより楽)。
よって,$\sin\theta+\sqrt{3}\cos\theta=2\sin(\theta+\dfrac{\pi}{3})$


例題2

$\theta$ が実数全体を動くとき,$f(\theta)=2\sin\theta+3\cos\theta$ の最大値,最小値を求めよ。

同様に合成すると,$f(\theta)=\sqrt{13}\sin(\theta+\alpha)$ ただし,$\alpha$ はとある実数(具体的に求める必要はない)。よって $f(\theta)$ の最小値は$-\sqrt{13}$,最大値は $\sqrt{13}$ である。

三角関数の合成の意味

・三角関数の合成とは,「サインとコサインの定数倍の和」という扱いにくい関数をサイン(を平行移動したもの)という分かりやすい関数に変形することです。

・サインだけで表す公式だけでなく,同様にコサインだけで表す公式もあります:

$a\sin\theta+b\cos\theta=\sqrt{a^2+b^2}\cos(\theta+\beta)$
ただし,$\beta$ は $\sin\beta=-\dfrac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}$,$\cos\beta=\dfrac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}$ を満たす角度。

入試で使う分にはサインバージョンだけ覚えておけば十分ですが,「サインでできることはコサインでもできる」という認識は重要です。

サインバージョンの覚え方

$a\sin\theta+b\cos\theta$ の合成公式は $xy$ 平面で$(a,b)$ という点を書くと覚えやすいです:

三角関数の合成
  • $(a,b)$ の偏角(図の角度)が $\alpha$ に対応しています。
  • $\sqrt{a^2+b^2}$ は原点と$(a,b)$ の距離に対応しています。

これはあくまで簡単に覚えるための方法です。コサインの方で覚えようとすると状況は変わってきます。本質的な話ではありません。

合成公式の証明

三角関数の合成公式の証明自体は簡単です。加法定理を使って右辺を展開するのみです。

証明

$\sin$ の加法定理より,
$\sqrt{a^2+b^2}\sin(\theta+\alpha)\\=\sqrt{a^2+b^2}(\cos\alpha\sin\theta+\sin\alpha\cos\theta)$
ここで,$\sin\alpha=\dfrac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}$,$\cos\alpha=\dfrac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}$ を代入すると,三角関数の合成公式(サイン)を得る。

コサインバージョンも同様にコサインの加法定理を使って証明できます。また,サインの合成公式において位相をズラすことでも証明できます($\sin(\theta+\dfrac{\pi}{2})=\cos\theta$ を使う)。

コメント

三角関数の合成公式は上記のように簡単に導出できます。そのため「 $a\sin\theta+b\cos\theta$ という式を見たときに,加法定理を逆に使えば合成公式は導けるので覚える必要はない」という主張を聞いたことがあります。

しかし,合成公式は頻繁に使うので時短のためにも上述の簡便法でサインバージョンを覚えてしまうことをオススメします。

公式の証明,本質をきちんと理解した上で,でもよく使う公式は邪道な方法でもいいから素早く使えるようになるべし。

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