2015/02/05

パラボラアンテナの原理と放物線の性質

分野: 二次曲線  レベル: 最難関大学

定理:パラボラアンテナの対称軸に対して平行に入射した信号は「焦点に」「同時に」届く。

パラボラアンテナの原理

パラボラアンテナの原理
  • パラボラアンテナは信号を「送信」するのにも「受信」するのにも用いられます。
  • 信号を受信するときは「定理」により焦点で信号を効率よく受け取ることができます。
  • 信号を送信するときは「定理」により焦点から信号を発することで,平行光線を作ることができます。(平行じゃないといろいろな方向に信号が拡散してしまう。)

なお,パラボラアンテナが送受信する信号は,電磁波(電気信号)の場合が多いですが,音波など他の波の場合もあります。

パラボラアンテナと放物線

実際のパラボラアンテナの形は「放物線」ではなく放物線を対称軸の回りに回転させた「回転放物面」です。→回転放物面の方程式と東大の問題

ただし,パラボラアンテナの(今回注目する)性質を理解するという目的においては,対称軸を含む平面で切ったときの様子を見れば十分なので,以下では放物線(二次関数)の性質を見ていきます。

数学的性質

冒頭の定理を数学的に証明しやすいように言い換えます。考えている放物線の頂点が原点,軸が $y$ 軸と一致するような座標を設定して考えます。

パラボラアンテナの数学的背景:
$a,\:k$ を正の定数とする。
二次関数 $y=ax^2$ に対して,$y=k$ 上の点 $P(x_0,k)$ から対称軸に対して平行に放たれた信号は,
性質1:二次関数に反射した後,全てとある一点(焦点)を通る。
性質2:$y=k$ から焦点までの移動にかかる距離は $x_0$ によらない。

1つ目の証明は計算が少し大変ですが二つ目は放物線の準線,焦点について知っていれば一瞬です!

性質1の証明

反射の法則を定式化する部分がポイントです。難関大の入試にも出そう。ここではタンジェントの加法定理を使った方法を解説します。

アンテナの性質

証明

$(x_0,k)$ から放たれた信号について考える。対称性より $x_0 > 0$ の場合を考えれば十分。

この信号は $A:(x_0,ax_0^2)$ で反射する。反射した後の軌道(直線)の傾きを $m$ とすると,その直線 $l$ の方程式は $y-ax_0^2=m(x-x_0)$
よって,次は $m$ を求めるのが目標。

また,$A$ における接線の傾き($=$微分係数)は $2ax_0$ であることに注意する。

図において

  • $\tan \alpha=\dfrac{1}{\tan(90^{\circ}-\alpha)}$ より,$\tan\alpha=\dfrac{1}{2ax_0}$
  • $\tan$ の加法定理より,$\tan\beta=\dfrac{2ax_0-m}{1+(2ax_0)m}$

入射角と反射角は等しいので $\alpha=\beta$,すなわち,
$\dfrac{1}{2ax_0}=\dfrac{2ax_0-m}{1+2ax_0m}$

これを $m$ について解くと,$m=ax_0-\dfrac{1}{4ax_0}$

よって,$l$ の方程式は $y-ax_0^2=mx-ax_0^2+\dfrac{1}{4a}$
つまり $y=mx+\dfrac{1}{4a}$ となり,$x_0$ の値によらず定点 $F(0,\dfrac{1}{4a})$ を通ることが分かる。

なお,焦点 $F$ の座標を天下り的に与えれば,性質1の証明は以下のようにより簡単にできます(教えて下さった方ありがとうございます!)。

接線と $y$ 軸の交点を $B$ とする
→簡単な計算により $AF=BF$ が分かる
→よって,$\angle FAB=\angle FBA$
→これと平行線の同位角が等しいことから $\alpha=\beta$

性質2の証明

アンテナの性質の証明

$y=ax^2$ 上の点は,$y=-\dfrac{1}{4a}$(準線)と$(0,\dfrac{1}{4a})$(焦点)からの距離が等しい点の軌跡であるという性質を用います。

→放物線の準線・焦点と一般化

証明

$PA+AF=PA+AB=\dfrac{1}{4a}+k$ となり $x_0$ によらない。

ただし,$B$ は $x=x_0$ と準線の交点。

どこかでパラボラアンテナを見かけたらこの性質を思い出して下さい。

Tag: 難しめの数学雑学・ネタまとめ

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