2015/05/28

複素数の絶対値の定義といろいろな性質

分野: 複素数  レベル: 基本公式

複素数 $z=a+bi$ に対して,その絶対値を $|z|=\sqrt{a^2+b^2}$ で定める。

複素数の絶対値についての性質とその証明を整理しました。

複素数の絶対値

・三平方の定理より$(0,0)$ と$(a,b)$ の距離は $\sqrt{a^2+b^2}$ です。よって,複素数の絶対値は複素数平面における原点からの距離を表すことが分かります。

複素数の絶対値
  • 特に $b=0$ のときは慣れ親しんでいる実数の絶対値の定義と一致します。
  • 複素数の絶対値は実数です。 $z=w$ は複素数の等式,$|z|=|w|$ は実数の等式であることに注意して下さい。

$|1|=1$
$|2i|=2$
$|1+i|=\sqrt{1+1}=\sqrt{2}$
$|3-4i|=\sqrt{3^2+(-4)^2}=5$

非負性

ここから複素数の絶対値の性質を淡々と紹介します。
以下,$z,w$ は複素数とし,$z=a+bi,\:w=c+di$ とします($a,b,c,d$ は実数)。

0. $|z|\geq 0$ であり,$|z|=0\iff z=0$

・前半は,$\sqrt{a^2+b^2}\geq 0$ であること,
後半は,$\sqrt{a^2+b^2}=0\iff a=0,b=0$ であることから導かれます。

四則演算

1. $|z+w|\leq |z|+|w|$
2. $|z-w|\geq |z|-|w|$, $|z+w|\geq |z|-|w|$
3. $|zw|=|z||w|$
4. $\left|\dfrac{z}{w}\right|=\dfrac{|z|}{|w|}$ (ただし $w\neq 0$)

  • 1と2は三角不等式です。いろいろな三角不等式(絶対値,複素数,ベクトル)で証明しています。地味に2もよく使います。
  • 3は単純計算で証明できます:
    $(a+bi)(c+di)=(ac-bd)+(ad+bc)i$ より,
    $(ac-bd)^2+(ad+bc)^2=(a^2+b^2)(c^2+d^2)$ を証明すればよいが,これは簡単に確認できる。(実は有名な恒等式→ラグランジュの恒等式とその仲間
    特に,$z$ が実数の場合が頻出です。(例えば $|2z|=2|z|$)
  • 4も分母の実数化を用いて証明できます:
    $\dfrac{a+bi}{c+di}=\dfrac{(a+bi)(c-di)}{c^2+d^2}$ より,

    $\dfrac{\sqrt{(ac+bd)^2+(-ad+bc)^2}}{c^2+d^2}=\dfrac{\sqrt{a^2+b^2}}{\sqrt{c^2+d^2}}$ を証明すればよいが,3と同様の恒等式に帰着される。
    特に,$z=1$ の場合が重要です(逆数の絶対値の公式)。

    また、3で $z\to\dfrac{z}{w}$ としても 4が導けます。

共役複素数と絶対値

$z$ の共役複素数 $a-bi$ を $\overline{z}$ と書きます。

5. $|z|=|\overline{z}|$
6. $z\overline{z}=|z|^2$

・5は $\sqrt{a^2+b^2}=\sqrt{a^2+(-b)^2}$ から導かれます。

・6は$(a+bi)(a-bi)=a^2+b^2$ から分かります。非常に重要な性質です。→共役複素数の覚えておくべき性質
$\overline{z}=\dfrac{|z|^2}{z}$ の形で使うことも多いです、

基礎的な話題でしたが,ブラーマグプタ-フィボナッチ恒等式が登場したのはなかなか嬉しいですね。

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