2015/07/29

0の階乗を1と定義する理由

分野: 場合の数  レベル: 基本公式

Q:なぜ $0!=1$ なのか?
A:そう定義すると都合がよいから。


正の整数 $n$ に対して $n!$ は「 $1$ から $n$ まで整数の積」で定義されます。では $0!$ はいくつでしょうか,というテーマです。

0の階乗の定義

$0!=0$ と定義したくなる気持ちも分かりますが,$0!=1$ と定義した方がいろいろ都合がよいです。

どう都合がよいか大雑把に言うと, $0!=1$ とすることで,正の整数の階乗を含む「様々な関係式」が $0$ の階乗の場合にも成立するようになり統一的に扱える(場合分けが不要),となります。

この記事では「様々な関係式」を説明することで,$0!=1$ という定義を納得してもらうのが目標です。

階乗の再帰式

$(n+1)!=(n+1)\cdot n!$

これは $n\geq 1$ では明らかに成立する関係式です(これを階乗の定義に使うこともあります)。
$0!=1$ と定義することで,この式が $n=0$ でも成り立つ,つまり $1!=1\cdot 0!$ となります。

コンビネーション

$n$ 個のものから $r$ 個選ぶ場合の数を${}_n\mathrm{C}_r$ とすると,$1\leq r\leq n-1$ のとき,${}_n\mathrm{C}_r=\dfrac{n!}{r!(n-r)!}$ を満たします。

$0!=1$ と定義することで,この式が $r=n$ でも成り立つ,つまり${}_n\mathrm{C}_n=\dfrac{n!}{n!0!}$ となります($n$ 個のものから $n$ 個選ぶ方法は一通り)。

マクローリン展開

(高校数学の範囲外です)
$0!=1$ と定義することでマクローリン展開の公式を
$f(x)=\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}\dfrac{f^{(n)}(0)}{n!}x^n$
と簡潔に書くことができます。

例えば,
$e^x=1+x+\dfrac{x^2}{2}+\dfrac{x^3}{3!}-\cdots$
$\cos x=1-\dfrac{x^2}{2}+\dfrac{x^4}{4!}-\dfrac{x^6}{6!}+\cdots$
という式を
$e^x=\dfrac{x^0}{0!}+\dfrac{x^1}{1!}+\dfrac{x^2}{2!}+\dfrac{x^3}{3!}-\cdots$
$\cos x=\dfrac{x^0}{0!}-\dfrac{x^2}{2!}+\dfrac{x^4}{4!}-\dfrac{x^6}{6!}+\cdots$
と書くことができます(調和が取れていて美しい)!

ガンマ関数

(こちらも高校数学の範囲外です)
実は,$n\geq 1$ に対して $n!=\displaystyle\int_0^{\infty}t^{n}e^{-t}dt$ という関係式が成立します。

$0!=1$ と定義すれば,この関係式が $n=0$ でも成立します。

詳しくはガンマ関数(階乗の一般化)の定義と性質をどうぞ。

定義は約束事であって証明すべきことではありません。 $0!=1$ を証明して下さいって言わると困っちゃいます。
分野: 場合の数  レベル: 基本公式